まちねずみジョニーのおはなし
八戸から泊まりに来てくれた友人を見送った帰り道。
電車に揺られながら、ぼんやり思い出したのは「まちねずみジョニーのおはなし」。 ビアトリクス・ポターの"ピーターラビットの絵本"シリーズの第9巻です。 暮らしていた野菜畑から、ふとしたきっかけで都会の街中へ連れ出されてしまった、田舎ねずみのチミー。 チミーが出会うのは、都会育ちで、礼儀正しく、品のいいジョニー。 ジョニーは、チミーを楽しませようと、一生懸命"おもてなし"をするのだけれど、最終的にチミーは田舎暮らしが恋しくなって、田舎へ戻っていく。 そして今度は、ジョニーがチミーを訪ねて田舎へ来るのだけれど、こちらもまた、チミーの精一杯の"おもてなし"にもかかわらず、ジョニーは都会へ戻っていく。 子供のころ、この本を読んで、チミーとジョニーが一緒にいられない結末に、きゅっと寂しさを覚えた。 せっかく出会えたのに、各々元の場所へ戻っていく結末が、なんだか残念だった。 でも、「今は、ちょっと違うかも」と思ったのは電車でのこと。 今は、チミーの選択も、ジョニーの選択も、とても素晴らしくて、聡明で、素直な選択なんだって思う。 ある人は田舎を愛し、ある人は都会を愛す。 その選択を、お互いに尊重する。 それって、とっても素敵な選択。とても真摯な思い遣り。 "あるひとは あるばしょがすきで またべつなひとは べつなばしょがすきです。" 田舎と都会。日本と外国。東京と横浜。スケールは違えど、当てはまる。 物語の一環だと思っていた最後のページの一文に込められた、ポターの思いを、やっと理解できるようになったんだと、故郷から来てくれた友人を見送りながら、はたと気づいたのでした。 …それにしても、泊まり客が帰った後の夕食って、心細い。
by norlie
| 2009-10-12 21:04
| Diary
|
|
ファン申請 |
||