夏の読書
『世界の美しい島100』という写真集を買った。 地球上にはこんな場所があるのか。 遠い、かの地に思いを馳せずにはいられない、美しい景色の数々にすっかり魅了されてしまった。 この手の写真集は、だれが撮っているのかよくわからなかったり、期待はずれだったりするので、買うときは慎重になるのだけれど、この一冊は買って良かった。 誰もが知っている有名な島もたくさん載っている。 パラオのロックアイランドや、カナダのプリンスエドワード島、チリのラパ・ヌイ島(別名イースター島)や、アメリカ・NYのマンハッタン島、ハワイ島やカウアイ島など、都会から大自然まで千差万別。 旅行者の憧れの地、ギリシャのイオニア諸島やサントリーニ諸島ももちろん載っている。 中でも、ティラ島の青い屋根の教会は、マジックアワーの美しい空を背景に、一際美しい写真が掲載されている。 今まで知らなかった島もいくつも載っていた。 まずは、イタリアのオルティジア島。シラクーサの旧市街が島にあるというのは知らなかった。 それから、イギリスのスカイ島とアイオナ島。荒涼とした雰囲気に心惹かれた。 また、名前と位置くらいしか知らなかった、デンマーク領・グリーンランド。 当たり前のように、巨大な氷山とカラフルな家々が共存する景色は、こんな土地があるのか、行ってみたい!という思いが芽生え、旅心が刺激された。 海の美しさが際立っていたのは、やはりカリブ海とオセアニアの島々。 特に、ポリネシアのモーレア島やランギロア環礁、ボラボラ島の青色のグラデーションは、日頃見ている日本近海と繋がっている海だとは思えない美しさ。 また、オーストラリア周辺の島々は、独特のダイナミックな地形と美しいエメラルドグリーンの海が隣り合って、見たこともないような景観が多く、興味が湧いた。 こうやって世界の写真を見ていると、「行ってみたい!」とつい思ってしまうが、島というだけあって交通手段が難しい場所も多い。 生きているうちに行ける島がいくつあるのだろう。 本で眺めているのが精一杯なのか。 でもこの中に載っている島の5〜6箇所くらいは、人生の中で行ってみたいな。 昨年から少しずつ読み続けている、ジェイン・オースティンの"Emma"の原書。 ストーリーは映画やドラマで知っているけれど、どうしても原語のまま読みたくて、古風な言い回しと格闘しながら読んでいる。 如何せん、気が向いたときに数ページずつ読むだけなので、なかなか進まない。 一年以上読んで、やっとフランク・チャーチルが帰って来たところ。 先は長い。 岡田光世さんのNYのシリーズが好きで、今年の初めに出た新刊『ニューヨークの魔法のじかん』を、最近よく読んでいる。 このシリーズの本を読んでいると、人種のサラダボウルと言われるアメリカの、その一大都市に暮らす人々ゆえの優しさや大らかさに、自分の心も少し解けるのを感じる。 ときには衝突やいざこざが描かれることもある。 しかし、岡田光世さんの視点がどこまでも優しく、あるいは飄々としているので、気持ちよく読み進めることができる。 このシリーズは旅に持っていくのも好き。昔のシリーズを読み返すのもいい。 最後に、『orange』という漫画本。 これは、かなり前に買っていたのだけれど、連載休止してしまって、もう先は読めないのかと思っていたら、別の雑誌で連載再開していた一冊。 改めて1巻目から読み返してみると、あらすじを知っているのに、やっぱり何度もぐっと来た。 高校生の頃、自殺してしまった同級生の男の子を助けるために、10年後の自分から手紙が届き、悩みながらも彼を助けるために奮闘する女の子のストーリー。 やがてその輪は、友人仲間にも広がっていく。 少しファンタジーを交えたストーリーだが、10年後の未来の自分からの手紙がいい。 『後悔、それは過去の自分の弱さや情けなさ。 自分にもできた事をできなかった事がきっと後悔。 10年前にいる私。だから大丈夫。 私が後悔していることはきっとどれもあなたができる事』 私も、10年前の自分に伝えたい事がたくさんある。気持ちはすごく分かる。 そして10年後の私は、きっと今の自分に同じように思うのかもしれない。 だとしたら、今の自分に、10年後の自分はなんて言うだろう? 10年後の自分ができない、今の自分だけができる事。 ためらわずに、勇気を出して一歩踏み出せる事。 この本のおかげでそういう事を考えるようになった。 10年後の自分の一番の味方は、きっと今の私だ。 10年後のわたしが後悔しないように、勇気を出して。 できない、めんどくさいなんて思わずに、今いる場所や周囲の人達との関係を大切にしよう。 あるいは、できないと諦めている事、行けないと諦めている場所、そこへ一歩踏み出そう。 そんな風に思わせてくれる作品。掲載雑誌が変わったり、色々あったが、改めていい作品だなあと実感した。 もうすぐ秋が来る。 秋に読みたい本と、夏の終わりに読みたい本はいつも少し違う。 今は夏の終わりに読みたい本を。そしてきっと、秋は秋らしい本を読むのだろう。
by norlie
| 2014-09-06 20:36
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