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みちのく潮風トレイル2(八戸区間) 淀の松原〜深久保漁港〜白浜海水浴場
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種差の芝生を突っ切り、キャンプ場のところから遊歩道に入ると、『淀の松原』と呼ばれる景勝地が始まる。
ここは、前々から「綺麗だから是非見ておいで」と言われていたところなので、楽しみにしていた場所だ。
岩手や宮城の三陸海岸と言えば、海際まで植えられた松林とリアス式海岸が織り成す景観で有名だが、種差海岸周辺に戦前からあったのはこの淀の松原だけだったのだそう。
現在は、他にも多くの松並木が見られるが、それらはすべて戦後に植樹されたものなのだそうだ。

このあたりは、トレイルが整備される以前から、種差海岸遊歩道としてもともと整備されていた場所なので、道はとても綺麗で歩きやすい。
松並木の向こうに見える海は群青色。天気のいい日の八戸の海の色。
この濃い海の色を見ると、やっぱり北国の海だなあと思う。
冬は、灰色の空に紺色の海が物悲しいが、夏や秋晴れのもとではこの群青色がとても綺麗に映える。

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トレイルを歩いていると、様々な植物に出くわすのもこの種差の魅力の一つ。
渚の野草や花々だけではなく、本来なら標高の高い場所でしか咲かない高山植物も咲いているのが面白い。
これは、この地域独特の"やませ"という冷たい北東風のためで、高原に近い気候だからなのだそうだ。
北海道や北東北でしか見られない植物もあり、中には種差を南限とする植物もある。
かと思えば、種差を北限とする、千葉や伊豆で見られるような南のほうの植物もあったりしてとても面白い。

野草の植物図鑑を持って歩いたらきっと楽しいだろうなあと思う。
子供の頃はあまり分からなかった楽しさだ。

この日、種差で出会ったあるご夫婦は、お二人で"トウヒレン"というアザミに似た花を探しにきたとおっしゃっていた。
「この花を見ませんでしたか?」と聞かれて、生憎私もアザミしか見ていなかったので首を横に振った。
「珍しい花で、この時期しか見られないんです。もう少し探してみます」と言って、また歩いて行った。
ご夫婦で花探しだなんて素敵だなあと思った。

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白岩。
これは子供の頃から何度か見た記憶がある。
子供の頃は「白い岩なんて不思議でしょ」みたいに教えられたような気がするが、改めて見ると鳥の糞だとわかる。
全然不思議でも何でもない。

春から夏にやって来るウミネコ達がやったに違いないと思って散策マップを見ると、「ウミウの糞」と書かれてあった。
そっちだったか。

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淀の松原を抜けると深久保漁港が見えてくる。
この漁港周辺の岩場は子供の頃によく磯釣りをした場所なので、なんだかとても見覚えがあり、懐かしい気がした。
子供の頃は随分高い岩場だったような記憶があったのだが、改めて見てみるとそんなに高さはない。

漁港に人はおらず、小舟が整然と並んでいるだけだった。
防波堤が突き出していて、日当りがよく、何とも気持ち良さそうだったので突端まで行ってみる。

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腰を下ろしてみて、海の高さと随分近いことに驚いた。
足を投げ出して腰掛けたら、靴がジャボンと海に入ってしまうような高さだ。
海抜30〜40cmくらい。

突端に座っていると、三方を海に囲まれ、まるで小舟に乗っているような気分。
今にも海に呑み込まれそうで少し怖くもあり、そのスリルが楽しくもある。
一方、背中に当たる日差しはポカポカと暖かく、温いコンクリート地面が心地いい。
あまりに気持ちいいので、30分以上そこでぼーっと座ってしまった。
今日は休暇。いつまで座っていても、だれにも急かされない。
オフィスでパソコンと向き合う必要もない。自由な一日。

旅先でのこういう時間は、日常に戻ったとき、まるで夢の余韻のようにいつまでも残る。
幸せだったなあと時折思い出すのは、旅先での出会いと写真に残る人々の笑顔。
そして、こんなふうに時間をかけて身体に染み込ませた、非日常的なひとときだ。

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深久保漁港を出て少し歩くと、白浜海水浴場へ到着。
漁港でのんびりしたこともあり、種差を出てから1時間かかった。
時刻は14時。

白浜海水浴場は、夏場に八戸市民が訪れる、数少ない海水浴場の一つ。
海に面した八戸だが、漁港が多いために遊泳可能な浜辺はそれほど多くない。
また、潮の流れが速く、遊泳禁止となっている海岸も多いため、市民が訪れるのは大抵この白浜海水浴場か蕪島海水浴場が多い。
私も子供の頃には、白浜海水浴場によく来ていたことを覚えている。
当時は、砂遊びの景色や波が怖かったことばかり覚えていて、浜辺全体の景観はほとんど記憶にない。
改めて見ると、綺麗にカーブして、とても美しいビーチだと思う。

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これから、この白浜海水浴場と、その先に続くなが〜い大須賀海岸の砂浜を歩くことになる。
以前、大須賀海岸を訪れ、日本の渚百選に選ばれていると知ってから、ずっと歩きたいと思っていた場所だ。

このときのために、わざわざリュックに入れていたビーチサンダルに履き替える。
ここから2.3kmの砂浜が続く。がんばろう。
by norlie | 2014-09-25 12:59 | ぷらっと青森
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