カテゴリ:ぷらっと鎌倉・湘南( 25 )
 
紫陽花と海街diary
前回から約3ヶ月ぶりの更新になってしまいました。
仕事がとても忙しく、終電帰りの生活に休日出勤や徹夜も何度かあり、毎日とてもくたくたでした。
平日は会社と家の往復、土曜は夕方まで寝て、日曜にたまった炊事洗濯を・・・と言った感じで過ごしていたら、あっという間に3ヶ月。
秋まではこの忙しさが続きそうなのですが、こんな心身共に疲れ果てた生活はいかん!と思い立ち、先週は鎌倉へ行ってきました。
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この時期、鎌倉と言えばやっぱり紫陽花。鎌倉が最も混雑する季節。
土曜日だったので、大混雑必至の明月院や長谷寺は避け、二階堂方面へ行くことにしました。
鎌倉宮から瑞泉寺へ向かう途中に、色とりどりの紫陽花が綺麗に咲く場所があり、久しぶりにそちらへ足を延ばしてみることに。
自然豊かな瑞泉寺の山の中でのんびりしてこようというのがもう一つの目的。
鎌倉宮から瑞泉寺にかけては人が少なく、時々通る車に気をつけながら、一つ一つの場所でゆったりと鑑賞できました。

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瑞泉寺は、鬱蒼と茂る山奥に建つお寺。
寺のある一帯は紅葉ヶ谷という場所にあります。
山々に囲まれた鎌倉では、山筋が複雑に入り組み、山の麓に細長い谷のような土地が多く、こういった場所を"谷(やつ)"と呼ぶそうです。(ブラタモリでやってた)
比企谷、扇ヶ谷など、鎌倉には"谷"とつく地名が多いのですが、この瑞泉寺一体もこれまで知らずに「もみじがだに」と読んでいました。
正しい読み方は「もみじがやつ」だそうです。

まるでジャングルのようにシダが生い茂る山の中、苔むした階段を登っていくと名刹・瑞泉寺に到着。
境内はとても自然豊か。手入れされた庭と、手の入らない山の自然が隣り合って、風光明媚な景観にとても癒されました。
庭の片隅に、すっと茎を伸ばした桔梗が咲いていて、これまたとても優美。
桔梗には、なんというかとても日本的な美しさがあって好きです。控えめで芯の通ったしなやかさというか。
青紫色の花は涼やかで、夏が来ると和の涼感を与えてくれます。

瑞泉寺ではうぐいすを始め様々な鳥の鳴き声が聞こえてきて、とても心地よかったです。

山奥まで来た甲斐があると言うもの。

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紫陽花って良く見ると、同じ西洋品種でも随分違う。色合いはもちろん、花弁の形、花の大きさ、本当に様々。
手鞠のような紫陽花が道往く人に向かって、目一杯花を咲かせている姿は、梅雨の鬱陶しさを払ってぱっと明るい気持ちにさせてくれます。
紫陽花を見ると、雨が好きではない私もなぜだか「梅雨も悪くない」という気持ちにさせられます。
これでしっとり濡れた葉の上を、カタツムリが歩いていたりすると最高なのですが・・・最近カタツムリがいません。カタツムリはいずこ?

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金沢街道を鎌倉駅へ戻る途中で、道を逸れて必ず寄る場所があります。それが妙本寺。
こちらも比企ヶ谷(ひきがやつ)という、山に囲まれた場所にあります。
妙本寺は本当に静かで、本堂の隣の木々を揺らすリスの音が随分目立つくらいでした。
気の通ったとても良いお寺。ここでのんびりするのが本当に好きです。

こちらは拝観料がなく、
志納のお寺なので、二天門と本堂にそれぞれお賽銭を納めます。
境内はいつも本当に綺麗に保たれていて、手入れをしてくださっているお寺の方へ、感謝の気持ちが自然に沸いてきます。
これからもよろしくお願いしますという気持ちでお納めしました。

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妙本寺ではヤマアジサイが見頃でした。
ヤマアジサイという品種を私は最近まで知らなくて、目にしてもそれが紫陽花だとは気づかないくらいでした。
子供の頃から「ほら、アジサイだよ」と教えられてきたものは実は西洋品種で、日本古来のアジサイはヤマアジサイやガクアジサイのほうなのだそうです。
中央の小花を取り囲むように装飾花が咲く姿は、清楚で優美。
西洋アジサイのような華やかさはなくても、桔梗と同じように日本らしい雅な美しさがあり、鎌倉の景色によく合うなあと思います。

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鎌倉の名刹と紫陽花をたっぷり満喫した後は、鎌倉を舞台にした映画『海街diary』を鑑賞。
原作は漫画で、友人が面白いと言っていたので、公開されたら観たいなあと思っていた映画です。
事前に原作を読んでから観たのですが、原作も映画とても良かった。

映画のストーリーは少し駆け足で進んでいくのですが、四姉妹が鎌倉で暮らす日々が丁寧に描かれていて、全編ゆったりとした雰囲気。
ラストは「あ、ここで終わるのか」と拍子抜けしたりしたけれども、『海街diary』という作品の性質を考えると、それも自然に思えました。
"diary"というタイトルが示すように、これは四姉妹の日常の物語。
起承転結として物語が終わるのではなく、人生のようにずっと続いていく物語です。
出会いや別れ、学生生活や社会人生活、そして家族の毎日、その中で紡がれていく小さな出来事、四季折々の風景。
三姉妹にもう一人の妹。何か大きな出来事があって、ぱっと家族になるんじゃなく、日々過ごしていく中で少しずつ家族になっていく。
とても心が癒される、良い映画でした。

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by norlie | 2015-06-21 18:56 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(4)
 
牡丹と小鳥
2月の終わり、鶴岡八幡宮にある神苑牡丹園で冬牡丹が見頃だというので立ち寄ることにした。
牡丹園があることは知っていたが、まだ一度も入ったことがなく、庭園がどんな形なのか、どのくらいの規模なのか、よく知らない。
とりあえず、いつも座る源氏池の畔のベンチの傍に入り口があって、そこでチケットを買って入ることに。
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足を踏み入れてみると、寒空の下、華やかな色合いの牡丹が大きく花開いていた。
冬牡丹の見頃は1〜2月。終わりかけの時期だったが、十分綺麗で見応えがある。
牡丹には、春牡丹、冬牡丹、寒牡丹という3つの品種があるのだそう。
一般的には春に咲く春牡丹が最も有名で、他に、冬に咲くよう改良した冬牡丹と、二季咲きの寒牡丹がある。
冬牡丹と寒牡丹はよく混同されることが多いらしいが、実際は全く別の品種なのだとか。
この牡丹園の品種がどちらかはよくわからなかったが、寒い時期にもこんなふうに華やかな牡丹を見られるなんて、とても贅沢だなあと思った。
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この神苑牡丹園は、鶴岡八幡宮の源氏池の外周半分を取り囲むように作られた日本式庭園。
普段は反対側の畔のベンチに腰掛けて見渡していた景色を、違った角度から眺められるのもとても印象的だった。
頭の上から、聞き慣れない鳥の声がして、よく目を凝らしてみたら、ヒヨドリが何羽か止まっていた。
数羽いるあたり、この木が彼らの今の寝床なのかもしれない。
灰褐色の身体に、ちょっとふわふわっとした頭、くりくりした目。
花の蜜が大好きなこの鳥たちも、梅が咲き、やがて来る春の気配を感じて、きっと喜んでいるんだろうなあと思った。
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源氏池の木製の渡し通路に、ハクセキレイが1羽遊んでいた。
珍しくも何ともないけれども、私はこの子達がとても好き。
黒い頭に白い顔。小さな身体でちょんちょんと歩き、歩く度に尾羽を上下にふりふり。
英語ではセキレイを総称して"Wagtail"と言う。その名の通り、尻尾(tail)を振る(wag)小鳥。
1羽でいることが多く、都会でも田舎でも、人々の生活に気ままに馴染んでいる感じがとてもいいなと思う。

以前、ある冬の日、地元の田んぼの真ん中にある精米所に精米しにいった時、ガラス戸の外に1羽の小鳥が近寄ってきたことがある。
どうやらガラスごしの室内にある零れた米がほしいらしい。
床に落ちた米をかきあつめて、ガラス戸を開けて投げてあげると、ちょんちょん近寄ってきた。
さすがに警戒心が強く、手からは食べてくれなかったけれども、最終的には投げなくてもいいくらい目の前にきて米を食べるので、寒さも忘れてしばらくその子のために床に落ちた米集めに勤しんだ。

気の済むまでそうやって過ごして、車に戻ったら、外の車からそれを見ていたらしい父が「随分長いこと、セキレイと遊んでたなあ」と言った。
それで、ああこの鳥はセキレイっていうのか、と初めて知った。
それ以来、またセキレイと遊びたいなあと、その精米所を見るとちょっとむずむずする。

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帰り道、小町通りを歩いて帰る。
腸詰屋のバジルウィンナーを食べて、いつものコロッケを食べて、食べ歩きを楽しみながら、軒先を彩る春の気配をそこはかとなく感じた。
店先に飾られた花、帆布屋さんの雑貨の色柄、3色の達磨。
春になったら、ぽかぽかした日差しの下、またここを歩けるようになる。
ああ、春が楽しみだなあ。
次の春は鎌倉のどこを歩こうかとわくわくしながら、駅へ向かった。

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by norlie | 2015-03-21 20:17 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(4)
 
東慶寺、梅見の春
2月の終わり頃、鎌倉で梅がほころんだという噂がちらほら聞こえてきた。
鎌倉では、2月の終わりから3月にかけて、多くの寺社仏閣に梅が咲く。
いずれも規模は大きくないが、そぞろ歩けば随所で花開く梅に出会える。
梅の便りを聞いてから一週間ちょっと待ち、そろそろ満開近くなってきたかなと思った頃に、ふらりと散歩に出かけてみることにした。

鎌倉の梅の名所と言えば、北鎌倉の東慶寺と二階堂の瑞泉寺、そして寺社ではないが十二所果樹園の梅林など。
この日は、ちょうど東慶寺の梅が見頃だと聞いたので、北鎌倉へ向かうことにした。

東慶寺の程近くにある、古民家を改装した食事処『蔵屋』さんで腹ごしらえ。
鎌倉野菜膳をいただいた。お野菜の天ぷらとけんちん汁が美味しく、また居心地も良くて思わず長居してしまう。

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けんちん汁で身体も温まり、お腹も満たされたので、東慶寺へ。
噂に違わず、東慶寺の梅は見頃を迎えていた。
参道を囲む両脇に、色とりどりの可愛い梅が花開いている。

ところで、「梅が綻ぶ」とはよく聞くが、「桜が綻ぶ」とはあまり聞かない。
綻ぶというのは、硬い蕾が解けるようにゆっくりと開いていくことを表現した言葉。
冬の終わり、春が近づくと、桜よりも桃よりも早く、一番最初に蕾が膨らみ始めるのが梅の花だ。
硬い蕾が、日一日とゆっくりとほどけて花開く様子を、今か今かと待ち望んで見つめる日本人の心が、「綻ぶ」という言葉にはよく表れていると思う。
待ち望んだ春がやっときた、その喜びが「梅が綻んだよ」という言葉にこめられている。
四季と共に暮らす日本人らしい、こういう日本語の繊細さは本当に素敵だなあと思う。

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一般的に、梅・桃・桜のなかでは、梅が一番最初に咲き、それに続いて桃と桜が咲く。
だからこそ、多くの人は、最も早く春の訪れを知らせてくれる梅を「綻ぶ」と言う言葉で表現するのだろうけれども、そんな日本人らしい「梅が綻ぶ」という感覚をちゃんと知ったのは、関東に出てきてからのことだと思う。
私の育った北東北や北海道では、梅・桃・桜がほとんど同時に咲くことが多い。だから、梅が最初に咲くというイメージがなかった。
普通は、桜よりも先に梅が咲くものなんだと、感覚的に知ったのは関東に来てからだ。

だから今は、「梅が綻んだ」と喜ぶ日本人の心がよくわかる。
梅が綻び、春が近いことを知る。近づいているとわかると、俄然楽しみになる。
春になったら何をしようかとしょっちゅう考え始める。
そして、街路樹の桜にピンク色の蕾が膨らみ、一斉に花が咲くと、「ああ、やっと春が来た」と思う。
花粉も一緒に来るけれども、まあ、それはそれとして、春が来るのは本当に嬉しい。
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東慶寺でひとしきり梅を堪能し、ぶらりぶらりと鎌倉方面へ向かう。
鎌倉街道の途中に、古い洋館を思わせる素敵な建物があり、洋菓子屋さんのティーサロンになっている。
ずっと入りたいなと思っていながらも、この道を通るときの満腹度の加減でなかなか機会がなかったのだが、今回ついにこちらに立ち寄ることができた。

もともと美術館だった瀟洒な洋館を改装したのが、この歐林洞の鎌倉本店。
建物の優雅な雰囲気も去ることながら、紅茶と洋菓子が美味しいと評判のお店でもあり、今回はこちらでダージリンティーとパウンドケーキを頂いた。
4種類の味のパウンドケーキはしっとりふっくらとてもおいしく、紅茶にぴったり。
また、紅茶も蒸らし加減をしっかりと測ってくれているようで、味がとてもよかった。
これは是非また来ようと思う。本当に美味しいアフタヌーンティーだった。
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鶴岡八幡宮を出て、若宮大路を歩いていると、「あら?」と思う光景に出会った。
これは、桜・・・?
たった今、梅を見てきたばかりなのだが、こちらはこちらで数本だけ桜のようなものが咲いていた。
通りを行く人も、「こんな時期に桜が咲いてる」と驚きながら写真を撮っていく。
河津桜や緋寒桜のように早い時期に咲く種類でもなさそうで、どちらかと言うとソメイヨシノに見える。
でもソメイヨシノにしては、時期が早すぎるよね、とその場にいる人達も皆困惑顔。

結局、ソメイヨシノが時期違いに咲いているものなのか、はたまた全く別の種類の桜なのか、そもそも桜ですらないのか。
答えは分からないまま、その場を離れた。
答えがわからなくても、綺麗なものは綺麗だし、ふわりふわりと咲くピンクの花を見ていると、嬉しいものは嬉しい。
春とはきっとそう言うものなのだと思う。

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by norlie | 2015-03-08 18:44 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(2)
 
円覚寺盆踊り
夏真っ盛りなのに、いまいち夏らしいことをできていない今年の8月。
北鎌倉の円覚寺で開かれている盆踊りが、とても風情があっていいと聞いたので、仕事の後に行ってみることにした。

北鎌倉の駅を降りて、提灯の明かりに沿って歩くと、『円覚寺盆踊り大会々場』の文字。
日中の参拝出口とは違う道から入ると、山門の周りには既に踊りの輪ができていた。
円覚寺の盆踊りは、この立派な山門の周りを輪になって踊るのだそう。

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鎌倉五山第二位の円覚寺には重要文化財が多く、境内で火は使えないので、露店はほとんどない。
隅のほうで、きゅうりの一本漬けや枝豆、ビールや団扇が売られている程度で、麦茶は無料サービス。
訪れる人は皆、純粋に"盆踊り"を楽しみに来ている様子で、それがまたとても居心地が良い。

決して大規模ではないが、だからこそ、どこか昔懐かしい雰囲気のある盆踊りだなと思った。
そして、何せここは古都鎌倉・円覚寺。
立派な山門と幻想的な提灯の下、浴衣姿の老若男女が輪になって踊るのは格別の風情がある。

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盆踊りの曲にあわせて、生の太鼓の音がお腹に響く。
青森出身の私からすると、流れてくる曲はほとんど聞き覚えのない曲ばかり。
『東京音頭』『円覚寺音頭』など、盆踊りの曲は地域性があって面白い。

途中、子供向けに『ぼくドラえもん』が流れ、まさかの『Let It Go(アナと雪の女王)』まで流れたときはちょっとびっくりしたけれど、小さな女の子が上手に歌っていて、それに合わせて周りの人達が楽しそうに踊る姿に思わず笑顔になった。
地元の人や家族連れ、孫を連れた祖父母が多いせいか、とても雰囲気が温かい。

円覚寺のお坊さん達も、作務衣姿で頭にタオルを蒔いて輪に加わっていたりして、とても親しみ溢れる雰囲気。
踊りがとてもうまいお坊さんもいれば、時々踊りを間違えたりして、一生懸命なお坊さんもいる。
でも、みんな一様にとても楽しそうな顔をしていた。

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一人、また一人と輪が広がっていく。
「東日本大震災の復興を願って、是非みんなで踊りましょう」という呼びかけがあって、福島民謡の『相馬盆唄』という曲が流れたところで、私もついに輪に加わることにした。
山門を取り囲む二重三重の輪の中で、知らない曲ながら見よう見まねで踊っていたら、なんだか楽しくなってきた。
それから、「月が出た出た月が出た、ヨイヨイ」でおなじみの『炭坑節』を踊って、大満足で輪の外に出た。

過度な混雑で押し合いへし合いということもなく、十分に踊れるスペースがあって、それでいてとても賑わいのある盆踊り。
地元の方々が多く、輪の外では近所の人同士でお喋りをしていたり、「少し早いですが失礼します。また明日」と言って帰っていくご家族もいる。
ご高齢のおばあちゃまやおじいちゃまは、周りのベンチに腰掛けて、時々隣の人とおしゃべりをしながら、楽しそうに踊りを見ている。
私も境内の階段に腰掛けて、きゅうりの一本漬けをかじりながら、夏の宵の風情を楽しんだ。

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盆踊り会場では、竹団扇が売られていて、書いてある言葉も数種類あった。
私が選んだのは、「手をとりて 共にながめん 盆の月」と書かれたもの。
その言葉通り、まるで故郷に帰ったように、共に楽しませてもらいました。

久しぶりに踊ることもできて、懐かしい雰囲気に心満たされた円覚寺の盆踊り。
子供の頃から親しんだ、故郷の盆踊りの曲『八幡馬』を口ずさみながら、帰途についた。
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by norlie | 2014-08-15 23:21 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(8)
 
喜泉庵
あくせく働き、なんだか追い立てられるような毎日が続いていたので、ちょっと一服。
スローな空気を求めて、鎌倉の浄妙寺にある喜泉庵へ足を運んだ。
喜泉庵は、すっかり私の駆け込み寺だ。忙しさが嫌になった時は必ずここへ足が向く。
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茶室には私一人。
夏に向かって緑濃くなる鎌倉の山を遠目に見ながら、茶室の緩やかな静けさに身を委ねた。
風が木々を揺らす音に混じって、本堂の掃除の音、虫の鳴き声、鳥の声がする。
ぼーっと眺めていると、庭の木にあまり見ない鳥が飛んで来たのが視界に入った。
近寄って目を凝らすと、オリーブがかった褐色の背。うぐいすだ。
望遠レンズを持ってこなかったことを悔やむも、仕方がないので、ただじっと目に映す。
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浄妙寺では、鎌倉の和菓子店『美鈴』の上生菓子をいただくことができる。
この日は"水の月”。
水の中に浮かぶ月は、餡子でできていて、じんわり甘さが口の中に広がった。
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今日は浄妙寺の猫さんがいないなあと思っていたら、帰りがけに庭の片隅で寝ているのを見つけた。
日が照っていると、この猫さんは本当にいつも寝ている。
それもたいそう気持ち良さそうに。

毛並みの良い白いお腹に触っても、少しも嫌がらず、すうすうと寝ていた。
黙って撫でさせてもらう。柔らかい毛が気持ちいい。

この猫さんに会うと、あくせく働く自分の毎日がちょっと馬鹿みたいに思えてくる。
この子みたいに、日が照ったら暖かい砂利の上に背中を預けて、たっぷりごろごろしたっていいじゃないか。
私が東京でやっていることは、きりきり舞いになるほどの価値なんてあることだっただろうか。
まだまだ先の長い人生、今からこんなに毎日全力で走り続けたら息があがってしまう。

あなたと代わりたいよ。
猫さんにそう言ってみる。
猫さんは相変わらず、手足と尻尾を投げ出して、すうすうと気持ち良さそうな寝息を立てていた。
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by norlie | 2014-07-06 02:09 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(4)
 
紫陽花と蛍
北鎌倉・明月院へ紫陽花を観に行く。

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いつもなら快晴を望むのだけれど、この日は少し晴れた空が惜しかった。
雨が好きではないけれど、紫陽花だけは雨に濡れた瑞々しい姿が好きだと思う。

子供の頃、雨に濡れた紫陽花の葉の上を、カタツムリが歩くのをよく見かけた。
カタツムリを見かけるのはやはり梅雨。よく手に乗せて遊んだりしていた。
考えてみれば、子供は楽しみ上手だと思う。
梅雨=嫌い、という思考が身に付いたのは、ずっと大人になってからだ。

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紫陽花寺と呼ばれるだけあって、たくさんの紫陽花が境内を彩っていた。
青色の紫陽花が多く、落ち着いた雰囲気がいい。

明月院と言えば、参道の階段の両脇を美しい紫陽花が彩り、その先に山門が見える景色が有名。
でも、この日はちょっと人が多すぎた。
鎌倉は本当に良い場所が多いけれど、如何せん人が多すぎるのが難点。
鎌倉の楽しさは平日に限る。あるいは、少し広いお寺や海側、あまり人の行かない場所なら、休日もいい。
でも、こういう名所はやっぱり土日は避けたほうがいいなと思った。
土日の鎌倉は場所を選ぶのが吉。

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明月院には"花想い地蔵"というお地蔵様がいる。
いつも季節の花を抱えて、ゆったりと目を閉じて座っている。
この日はやはり紫陽花。
装身具の色と紫陽花の色がよく合っている。

喧噪の中でもこんなふうに落ち着いた静かな心を持っていたいものだなあ。

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方丈の前に、平家物語の一節が掲げられていた。
言葉の選び方や音節、リズムがとてもすばらしいこの名文。
心なしか、梅雨の明月院に似合う気がする。
世は常ならず、栄える者もいずれは滅びる。虚しさや儚さに心を寄せる時期。

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夜は、蛍を見に鶴岡八幡宮へ行く。
待っている間、舞殿で神前結婚式が執り行われていた。
夜も更けて行く中、境内中央の舞殿を取り囲むように灯された火は少し夏祭りみたい。
厳粛な雰囲気ではあったけれど、もうすぐやってくる夏が待ち遠しいなと思った。
鎌倉の夏はいい。どこか懐かしい雰囲気があって、何度でも来たくなる。

蛍の光は儚く小さくて、それでも無数の蛍が訪れる人の目を楽しませてくれた。
少し緑がかった光がゆらゆらと飛ぶ姿は、夏の訪れを感じさせる。
きれいだけれど、人が放った蛍を、大行列に並んでみるのはちょっと趣に欠けるなとも思う。
やっぱり私は自然の景色が好きかなあ。
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by norlie | 2014-06-15 19:22 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(2)
 
小さな夏休み@鎌倉&江の島
休日出勤が続いた分、平日に振替休日を頂いた。
思いがけずとれた平日のお休みに、家で過ごすのはなんだかもったいなくて、湘南へでかけることにした。

まずは、いつもの浄妙寺・喜泉庵へ。
畳の上でのんびりしたーい、という、ただ純粋な欲求を満たすため、鎌倉駅からまっすぐバスに乗って浄明寺バス停で下車。

門をくぐると、砂利の上に、いつもの猫さんが寝転がっていた。
本当に文字通り、"寝転がって"いた。
両手両足をびょーんと伸ばして、お腹をべたっと冷たい砂利につけて、お日様の下ですやすや。
近づいてもぴくりともせず、すうすうと寝こけている。

仕事って何? 夏休みって何? あたしゃ毎日が休日ですよー。
そんな雰囲気。私の心も一気に和んだ。

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喜泉庵に入ると、いつもと緋毛毯の敷き方が違っていた。
いつもよりたくさんの人が座れるようになっている。夏仕様?
でも、今日は平日なので、客は私ともう一組だけだった。

夏限定の、冷やしお抹茶をいただく。冷たいお抹茶に、大きく透明な氷が一つ。
飲んでみると、きりっと渋みのあるお抹茶が、ひんやりと喉を通っていく。美味しい。

あの猫さんを見習って、畳の上でひたすらぽけーっとした。

ジージー、ミンミン、蝉がうるさく鳴いている。ふと音が途切れたと思ったら、また鳴き始め、徐々に音量が上がっていく。蝉の鳴き声も一定じゃないんだなあと思いながら、ぼんやりと聴き入った。

やがて、水琴窟の手水鉢に、緑がかった背の小鳥がやってきて、ばしゃばしゃと水浴びを始めた。
今、水琴窟を聴いたら、さぞかし面白い音がするだろうなあと思ったが、せっかくの楽しい水浴び中に脅かしてしまうのも可哀想なので、畳の上を動かずにじっと眺め続けた。

風が木々の葉を揺らす音、蝉や虫の鳴き声、小鳥の水浴びの音。
賑やかだけれど、どれも心地いい。
こういう茶室を考えた昔の日本人の感性に心から感謝。

ただ、何もせず、ぽけーっと無為な時を過ごす。
緩やかに、じわじわと、体の中に時間が染み込んでくる。
こんな休日はいつ以来だろう。

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大分長いこと茶室で過ごした後、再び猫さんのところに立ち寄って、浄妙寺を後にした。
鶴岡八幡宮方面へ歩いて戻り、そのまま小町大路に入る。

浄妙寺と同じくらい静かで心地よいお寺、妙本寺へ向かう。
小町通りや北鎌倉とは違って、こちらの界隈にはあまり観光客が来ない。
地元の人や知っている人だけが来る、実にローカルで長閑な地域なのだ。

妙本寺の手前にある谷口屋でひと休みすることにした。
米店がやっている小さなおにぎり屋さんで、こちらで買ったおにぎりを公園で食べるのが好きなのだが、今日はお店の中で食べてみることにした。

閉店の1時間ほど前だったので、おにぎりはもう4種類しか残っていない。
でも、残っていないほうが迷わなくてありがたい。

あさり漬けと明太子のおにぎりを1つずつ、お味噌汁付きのセットで頂く。
おにぎりとお味噌汁の組み合わせは、素朴でしみじみ美味しい。一番嬉しい昼食だと思う。

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妙本寺では、再び境内でひたすらのーんびり。

作務衣を来た坊主が一人、お賽銭を集めにきた。
訪れていた人達一人ずつに挨拶をしてくれた。その声で、女性だと分かる。坊主ではなく、尼僧だった。
彼女は、私の近くにいたご夫婦とお話を始めた。おじさんの若い頃談義が始まる。

「俺は逗子で育ったんだよ。こっちにもよく遊びにきてね」
「高校のときはよく"野外授業"に来たもんだよ。"野外授業"ってわかる? 授業をさぼって、仲間と遊びにきたってことだよ」
茶目っ気たっぷりのおじさんの物言いに、その尼僧は終始柔らかく返していたのがとても印象的だった。
「まあまあ、ものは言いようですね」
"野外授業"の話にもそんな風に返していた。

「今こうして、この場所がこんなに静かでいられるのも、鎌倉幕府がこんなに不便な場所に都を置いてくれたからだと思うんですよ。
道も狭いし、車はすぐに渋滞してしまうし、電車も都心よりずっと少ないし、山と海に囲まれていますでしょう?
不便だからこそ、こうやって静かな暮らしと古い町並みが残っているんだと思います」

そんな風におっしゃっていたのがとても印象的だった。
"不便だからこそ"—そんなこと考えたこともなかった。
彼女は隣にいた私にも静かに一礼して、またお寺の中へ戻っていった。

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江の電で江の島へ向かう。
夏休み気分だもの。やはり海へ行かねば。
閉店時刻が"日暮れから30分後"となっている店の多い江の島。
本日の日の入り時刻が18時45分頃だと確認し、急ぎ足で島へ向かう。

魚見亭で江の島ラーメンを食べて、テラス一面に広がる海を眺める。
二羽の鳶が水平線を滑るように飛んでいく。ときおり獲物を見つけたかのように、勢い良く真下へ滑空する。

夕焼けを見ながら、ところてんをきゅっと啜って、日が沈むまで海を眺めた。
やがて空に、夕焼け色と濃紺色が溶け合ったような雲が広がっていった。
そろそろ帰宅の時間だ。

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8月から灯籠祭りが始まる江の島では、この前夜、既に島中に灯籠が灯り、とても美しかった。
灯籠には四面にそれぞれ波や龍、天女の文様が描かれている。江の島の龍伝説を模しているのだろう。
祭りの前夜、灯籠だけが静かに灯った人気の少ない参道を歩く。
なんだかこの綺麗な景色を独り占めできたようで嬉しい。

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まだ明るい夕暮れの空に浮かび上がる、狭い参道のシルエットがたまらなく好き。
それは都心や横浜の町並みとはまるで違う、別世界だと思う。
タイムスリップしたような、異世界へ来たような、都会を離れて田舎へ遊びにきたような、そういう雰囲気のある島。

たった一日だけの小さな夏休みは、夏の空気がたっぷり染み入るような、とても濃い一日になった。
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by norlie | 2013-08-04 15:52 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(8)
 
江ノ島の夜景
円覚寺から建長寺へ、そして鶴岡八幡宮へ。
たっぷり歩いた後は小町通りで食べ歩きをして、お腹が満たされたときにはすっかり夕方になっていた。
このまま帰るのも惜しいということで、江の電で江ノ島へ向かうことに。

江ノ島へ着いた頃には18時過ぎ。
いつもなら日も暮れて暗くなってくる頃だが、日が長いこの時期はまだまだ空が明るい。

参道を上がって、エスカーで頂上へ向かう。
見晴台の近くに群生するクローバーは、シロツメクサが綺麗に咲いていて、夕暮れの青みがかった白がとても綺麗だった。

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そこから稚児ヶ淵へ降りて、再び戻って来る頃にはさすがに日も暮れ、通りはほとんど店じまいしていた。
「こうやって島にいると、なんだか学生時代の夏休みみたいだね」と言いながら、来た道を戻って行く。

江島神社の中津宮から降りる途中では、とても綺麗な夜景が見えた。

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こんな遅くまで江ノ島にいるのはこれが初めてだったので、この夜景もまた初めて目にした。
ヨットハーバーに灯る光がとても綺麗で、海の向こうに見える陸地もまた光に満ちている。
「江ノ島ならではだねえ」と喜びながら、皆で夜景を眺めた。
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by norlie | 2013-06-24 21:38 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(0)
 
円覚寺の密かな楽しみ
北鎌倉駅の目の前にあるのは臨済宗大本山・円覚寺。
鎌倉五山・第二位のお寺で、その境内の広さにはいつも圧倒される。

広すぎて全てを見ること叶わず、大体、三門から仏殿へ向かい、その先の妙香池の前を通って黄梅院まで行って往復した帰りに、弁天堂へ登ってひと休みするというのが定番。
実はこの日、円覚寺に来るのは随分と久しぶりだった。最後に来たのは6、7年前だ。

円覚寺は、私が初めて鎌倉へ来たとき、最初に入ったお寺。
母と一緒に右も左もわからないまま訪れた円覚寺はとても印象に残っている。

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円覚寺の境内案内図を見るとびっくりするのだが、こんなに!と思うほどの庵が点在している。
特に三門から雲頂庵への道なんて、一体どこから入るのか見当もつかない。
雲頂庵と言うからには、かなり高い位置にあるのではないかと思うのだけれど…。

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この日もまた、そういった未知の領域には足を踏み入れず、素直に弁天堂でところてんを頂いて、お寺を後にしたのだった。
いつか気が向いたときにでも雲頂庵まで行ってみたいなあ。
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by norlie | 2013-06-21 21:26 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(2)
 
喫茶・ミンカ
北鎌倉駅の近くに、とても雰囲気の良いカフェがあると聞いたのは昨年のこと。
ずっと行ってみたいと思っていたので、遊びにきてくれた友人達と行ってみることにした。

「あくまで喫茶店メニューなので、食事メニューは2、3択くらいらしいから!」と念押ししてからお店へ向かう。
知らなければ見過ごしてしまいそうな曲がり角の先に、植物が生い茂るお庭のある小さな民家が一つ。
友人が「トトロに出てくるお庭みたい」と言ったのが、とてもぴったりだった。

店内はナチュラルウッドの家具調度で、背の低い家具に高い天井がとても広く感じた。
カウンターの近くには回転式の書棚が置いてあって、この本を読みながらいつまでもここでのんびりできたら気持ちいいだろうなあと思う。

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お料理は、カレーやナポリタンなどの喫茶メニュー。コーヒーが美味しいらしいが、レモネードなど少し懐かしいメニューにも心惹かれる。

私はナポリタンとレモンスカッシュをオーダー。
少し汗ばむ陽気だったので、はちみつ入りのレモンスカッシュが最高に美味しかった。

寛ぐにはぴったりの空間で、思わずいつまでもここでのんびりしていたいと思ってしまう。
テーブルを囲んでおしゃべりをしていたら、あっというまに時間が経っていた。
「大変、これじゃ鎌倉がここだけで終わっちゃう」と出かける用意をしながらも、まだまだ名残惜しい。
後引く居心地の良さに「いいお店でしたねえ」と言いながら、3人で円覚寺へ向かった。
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by norlie | 2013-06-19 21:10 | ぷらっと鎌倉・湘南 | Comments(0)