カテゴリ:Lifestyle( 25 )
 
秋の味覚は菊の花
e0048530_17441923.jpg
地域色もあるのだろうが、私の地元では菊を食べる。
食べるのは葉ではなく、菊の花弁。
秋の味覚として知られており、学校給食でも普通に菊のお味噌汁が出た。他にもおひたしにしたり、煮物に加えたりする。
あまり疑問に思ったことがなかったのだけれど、「じゃあ、バラの花弁を食べよ」と言われると、ちょっと「えっ」と思う。
でも「菊の花弁を食べよ」と言われるとしっくり来るので、なんだか不思議な心持ちである。

菊の花を食べるのは青森だけではなく、東北地方や北陸地方ではそういう地域も多いと聞く。
それ以外の地域の人がどうなのかは私はよく知らないけれど、きっと食べる場所も中にはあるんじゃないだろうか。(たぶん)
"エディブルフラワー"(食用花)なんてものが最近聞かれるようになって、様々な種類のお花が食べられるみたいだけれども、私が抵抗なく食べられるのはやっぱり昔から馴染んでいる菊だと思う。

e0048530_17503877.jpg
上京してきて、スーパーで菊の花を売っているのをあまり見たことがなかったので、こちらでは売られていないのだろうと思っていた。
そうしたら、なんと先日、近所のスーパーに秋田産の食用菊が売られているではないか。
黄色い菊の花は"阿房宮"という品種で、青森でも最も良く売られているタイプの食用菊だ。

1パックに30個くらいだろうか。結構な量の菊の花が入っていた。
地元で売られているのより量が多い気がした。
早速買って帰り、台所で花弁を無心に毟る。
花弁を毟るって、普通なら罪悪感を伴う行為である。なかなかするものじゃない。
花は飾るものであって、花弁を毟るなんて普段ならとんでもない話だけれども、この食用菊の場合は、毟らないと食べられない。
こんな大量の菊の花弁を毟り取るなんて、なかなかできる経験ではないので、若干快い。
e0048530_17561751.jpg
3分の1はお味噌汁にして、残りはなめことほうれんそうと和えて食べることにした。
鰹節も入れて、和風の味付け。花弁は少しシャキシャキ感が残っていて、でも味を邪魔しない。

実は私はあまり菊のお料理が好きではなく、お味噌汁は食べるけれども、菊のおひたしは苦手なほう。
菊のおひたしって、ちょっと苦いので苦手なのだ。
でも、なめことほうれんそうと鰹節で炒めたこのお料理は、苦さがなくて美味しかった。

もともとそんなに好きな訳ではないのだけれど、地元でしか食べられないと思っていた食材がこちらで売られているのはやっぱり嬉しい。
ついつい手を伸ばして料理してしまう。今回もそんな感じ。
きれいで可愛い菊の花が台所にたくさん置かれていると、なんだか心までもが明るい気持ちになる。
食用菊を売ってくれていた近所のスーパーに感謝です。

[PR]
by norlie | 2015-11-14 17:42 | Lifestyle
 
夏の暮らし
夏が来ると、なぜか器を選ぶのが楽しいなあと感じます。
ひんやり涼やかなガラスの器、手触りのいい陶器の器。模様も形も材質もいつも色々。
暑くて食欲が落ち気味の時期だけれど、お料理と器と自分の気分がしっくりあうと食事で気持ちが満たされます。

冷茶を飲むのに、一昨年ガラスのピッチャーを買いました。
飲む分だけピッチャーに移して、氷を入れて冷やしておけるし、テーブルに置いてあると部屋の涼やかさが増して嬉しい。
とても気に入っています。

今年は一保堂のほうじ茶でよく冷茶を作っています。
ほうじ茶の香ばしさと喉ごしの良さが、すっきり心地いい。
それから、友人が台湾土産でくれた阿里山茶。
頂いた阿里山茶はとても質が良いようで、ふたを開けた途端にふわっと金木犀のような甘い香りがして、いつもうっとりします。
もう少しで飲みきってしまうので、とても惜しい。
e0048530_18240896.jpg
最近の休日の楽しみは豆大福を食べること。
昨年の夏はごま団子を食べることでした。
一昨年の夏は黒豆大福。
今年は黒豆でなくてもいいかなという気分です。

桃がおいしい季節なので、冷やした桃を食べるのもいい。
瑞々しくて、いくらでも食べたくなります。
夏は気分に正直に暮らすのが心地いい。

何となく食欲がないなあと思ったら、夏野菜のスープの出番。
SOUP STOCKの8種の野菜と鶏肉のスープは、公式でレシピが公開されており、有り難い限り。
夏によく作り、透き通った鶏のスープと瑞々しい角切り野菜がとてもおいしくて、あっという間に飲みきってしまいます。
e0048530_18242062.jpg
ジェノベーゼもなぜか夏に食べたくなるメニュー。
市販のジェノバソースでも好む味とそうではない味があり、より緑鮮やかなフレッシュなソースが好きです。
自分で作ってみようかなと思い立つも、うちにはフードプロセッサーがありません。
でもある日、ちょっとした興味で、すり鉢でジェノバソースを作ってみたら、意外と美味しくて、しばらくはこれでいいかと思っています。
置く場所があればフードプロセッサーが欲しいけれど、物があるとお手入れの手間もかかるので。

それに、すり鉢を使うのがとても好きです。
胡麻をすったり、冷や汁を作ったり、ジェノベーゼを作ったり、すり鉢は大活躍。
扇風機にあたりながら、何にも考えずにごりごりとすり鉢を回す。
こののんびりした時間が幸せ。
e0048530_18243494.jpg
休日の夕方、洗濯物を取り込んだ後、ベランダで冷茶を飲みながらふうと一息つく。ささやかだけど幸せを感じるひとときです。
暑すぎず、寒くなく、道往く人は楽しそうだし、ランドマークタワーも空も綺麗。
日が長いからでしょうか。
夏はいつもよりのんびりしていて、時間の密度が緩い気がします。
夏は夕暮れが一番好き。
夏っていいなあと思う時間です。


[PR]
by norlie | 2015-07-19 19:16 | Lifestyle
 
暮らしのあれこれ
e0048530_13304869.jpg

休日の朝、ベッドでごろごろごろごろごろごろごろ・・・と過ごすのが好きだ。
お気に入りのマグカップにお茶を入れて、タオルケットを握りしめて、寝たり、起きたり、また寝たり。
柔らかいベッドの上でマグカップをひっくり返さないように気をつけながら、ちびちびお茶を飲む。
くちゃくちゃの綿のシーツが心地いい。もっとくちゃくちゃになるように、たくさん寝返りを打つ。
うちのベッドは、日当りのいい窓際にあるせいか、シーツはいつもカラッと乾いてさらさらしている。
湿気でジメッとしている事はほとんどなく、それがまた寝坊癖に拍車をかける。

よくアメリカの映画で見る、ベッドで朝食をとるシーンに憧れる。
ラズベリーやブルーベリーがたっぷり載ったパンケーキとフレッシュジュース。
そして、一輪差しに花が添えられている朝食セット。
残念ながら、自分ではああいう朝食を用意することはないと思う。
パンケーキを焼くくらいなら、たぶん起きるし、仮に誰かが作ってくれたとしても、食べるには身体を起こさないといけない。
起きるくらいならテーブルにつくと思う。
絵的に素敵だなと思うけれど、あれは映画での事。

e0048530_1332231.jpg

最近、お弁当箱を新調した。
前のお弁当箱は2段重ねで、自分でも横着だと思うが、毎日2つの箱と2つの蓋を洗うのが最近面倒になってきたからだ。
色々考えた末に、「そうだ! 1箱にすればいいんだ!」と思い立ち、合計容量は変わらない、1箱の大きなお弁当箱を買って来た。
リサ・ラーソンの猫の絵が書かれていて、高さが結構あり、私の食欲に見合った量が入る。
1箱にしてみたら、思った通り、洗い物が少し楽になった。
小さな事だけど、小さな改善は大切だ。

『暮らし上手の〜』というシリーズの雑誌が好きで、気に入った特集があると買う。
今年に出た『暮らし上手の自分にご褒美』と『暮らし上手の朝時間』は特にお気に入り。
載っている写真を見ているだけで幸せになり、文章を読みながら、どんなふうにエッセンスを自分の生活に取り入れるか考えるのが楽しい。
休日、ソファの上でこの雑誌を読んでいるととてもまったりして幸せな気持ちになる。
『暮らし上手の自分にご褒美』には、以下のような過ごし方が載っている。どれも心が惹かれるものばかり。

 ・ いつもより手の混んだサンドイッチ(生クリームのフルーツサンド)を作る
 ・ 無地のリネンシーツとコットンのブランケットという極上の場所で20分間昼寝をする
 ・ いつもより手の込んだお菓子(プリンやガトーショコラなど)やご飯(お味噌汁、ナポリタンなど)を作る
 ・ 自然の中へ、ランチを持って散歩に行く。
 ・ (これは定番)旅に出る。

どれも魅力的すぎて、ご褒美だらけの毎日になりそう。

e0048530_13321438.jpg

コットンやリネンの服やファブリックが好きだ。
子供の頃から肌が弱いせいで、親や医者に、化学繊維の服は良くないと言われ続けてきたことが少し影響している。
汗を吸わなかったり、肌にちくちくと刺激がある服はやめるように言われて育った。実際痒くなる事も多かった。
10代、20代の頃は、それでもお洒落のために着たりもしたけれど、結局着心地がいいのが一番だと最近は思う。
最近は化学繊維でも肌触りのいいものや汗をよく吸う布もあるので、盲目的に敬遠することはないが、それでも服を選ぶと、大体コットンかリネンのものを手に取る事が多い。

晴れた日、リネンやコットンの服を畳むのは楽しい。
触り心地がいいし、ふわっと柔らかそうな布地を見ていると、なんだか良い休日だなと思う。

暮らすという事が、今の自分にはとても楽しい。
そう思える事はとても幸せだと思う。
[PR]
by norlie | 2014-09-13 13:30 | Lifestyle
 
夏の夕ご飯
e0048530_19431483.jpg


私はとても素麺が好きで、年中よく食べるのだけれど、中でも夏の時期は気を抜くと毎日素麺ばかり食べている。
普段は赤帯の"揖保の糸"。でも、夏だけは特別に"黒帯"(特級)の"揖保の糸"や"三輪索麺"を買って、その美味しさを堪能するのがちょっとした愉しみである。
過去何度か、こっそりデパートへ出かけていって、お中元の素麺を自分宛に送ったことさえある。
もちろん、差出人にはしれっと弟の名前を書いた(笑)。

だけど今年は珍しく、素麺よりも冷やし中華をよく食べている。
これは今年の6月、夏に向けてとても涼しげなガラスの大皿を買ったのがきっかけ。
そのガラスの器は、なんとも冷やし中華が似合うデザインで、つい冷やし中華ばかり食べてしまう。

冷やし中華は結構手間がかかるイメージだったのだけれど、いざ作ってみると、それぞれの具材を切って用意するだけでよいので随分簡単だった。
いくつかの具材は下味をつけたりするけれど、それもささっとで済む。
今は市販の冷やし中華だれを使っているけれど、今度は自分でたれを作ってみたいと思う。
自分好みのたれが作れたら嬉しいだろうなあ。

e0048530_19432784.jpg


夏は一汁三菜の食事が好き。
それにひんやり冷えた麦茶やほうじ茶、中国の青茶を飲む。
昔から使っている麦茶の入れ物一つでは飲むスピードに追いつかなくて、昨年追加で買っておいたガラスのピッチャーが大活躍している。
氷を入れてテーブルに置いておくと、カランと涼しげな音がするのもいい。

あとはもずく。
昔はもずくと言えばもずく酢くらいしか作らなかったが、最近はスープやお味噌汁などに入れても美味しいとわかって、オクラや豚肉と合わせて色々なスープを作る。
それに、いつか沖縄で食べたもずく丼。これもまたすっかりうちの定番ご飯になった。

e0048530_1943567.jpg


夏に一番使う調味料は、柚子胡椒。
特に、焼いた厚揚げを柚子胡椒で食べるのは、とてもおいしくて、ご飯がどんどん進む。
柚子胡椒の爽やかな香りと、ぴりっとした塩っぱさが、暑い夏に心地いい。
お茶とお味噌汁と厚揚げと柚子胡椒だけで、夕食は大満足。

夏はご飯が楽しい。
毎年少しずつレパートリーを増やしていけるといいな。
[PR]
by norlie | 2014-08-24 20:07 | Lifestyle
 
DECOLE: concombre - 夏物語 -
数年前から少しずつ集めている"DECOLE"の"concombre"シリーズ。
部屋の一角や会社のデスクで、夏の風物詩を満喫している彼らが目に入ると、ちょっと幸せな気持ちになります。

e0048530_11203791.jpg

e0048530_1137342.jpg

e0048530_1143436.jpg

e0048530_12495567.jpg

e0048530_12545828.jpg

e0048530_13341420.jpg

e0048530_13411945.jpg

e0048530_13413329.jpg


Enjoy the rest of summer!
[PR]
by norlie | 2014-08-02 13:43 | Lifestyle
 
故郷の春の食卓
実家から、豆しとぎと新物の海藻が届いた。
これこそ毎年届く、実家からの春の便り。
実家にいた頃は当たり前のように食べられたけれど、こちらでは手に入らないものも多く、今となっては、一年に1、2回だけの待ちに待った愉しみだ。

e0048530_1933477.jpg

三陸の港町では、1月末から春にかけて、様々な海藻が旬を向かえる。
特に、この時期でないと出回らない、つのまた、あかはたと言った海藻や、生めかぶ、生ふのりは私の大好物。
これを食べると、「もうすぐ春だー!」という気持ちになる。
この時期の海藻の歯ごたえ、磯の香りに優るものなし。本当に美味しくて、何杯でも食べられてしまう。

こちらでは、めかぶは既に湯通しされて売られているし、生のふのりはおろか、つのまた、あかはたはまず手に入らない。
味も香りも見た目さえも全然違う。
三陸に住んでいる人が本当に羨ましい!

e0048530_1972323.jpg

それからもう一つ、八戸の伝統菓子、豆しとぎ。
豆をすり潰した和菓子で、素朴でお茶によく合う。
豆しとぎは今でこそ一年中食べられるけれども、もともとは12〜3月の冬の時期に作られるものなので、旬のおいしさを味わうにはやっぱりこの季節が一番。

素朴な味わいが大好きなのだけれど、如何せん日持ちしないので、地元でないとなかなか手に入らない。
関東の人にも食べてもらうと「おいしい」と言ってくれるので、結構良いと思うのだけど、日持ちしないせいかお土産向きではないらしい。

まだ雪に埋もれた故郷から届く、一足早い春の味覚。
横浜にいながら味わえるのは、本当に幸運だと思うことしきり。

4月になれば、湘南の春の味覚「生しらす」も本格的に出回るし、三陸では新物のわかめが出回るようになる。
野菜売り場にはもう筍や春きゃべつ、新玉ねぎが並び始めているし、食卓が楽しい季節到来です。
[PR]
by norlie | 2014-03-29 10:18 | Lifestyle
 
お茶の時間
e0048530_18352979.jpg

ホワイトデーに、マカロンとチョコレートをいただいたので、週末はアフタヌーンティー。
今冬はなぜだか和菓子と日本茶の組み合わせが多かったので、久しぶりの紅茶の香りはなんだか懐かしい気がした。
カカオやフランボワーズ、レモンなど、香りの強い洋菓子には、やっぱり香り高い紅茶がぴったり。

e0048530_18374070.jpg

バレンタインは、本来、男女問わず、愛する人へ気持ちを伝える日。
カードを送ったり、お花を贈ったり、一緒にディナーを楽しんだりするものだけれど、なぜか日本では"女性"から"チョコレート"を渡す日になっているのは不思議だと思う。

そして、日本ならではの「お返し」の習慣、"ホワイトデー"。
義理堅いのか、イベント好きなのか、この日本の慣習はちょっと面白い。

そんな慣習のおかげで、本日の午後は幸せなお茶時間。
ふんわりしっとり甘いマカロンと、プラリネガナッシュのビターなチョコレート、おいしかった。
[PR]
by norlie | 2014-03-22 10:00 | Lifestyle
 
物語のある物
e0048530_22345242.jpg


前回は旅のアルバムのことを書いたが、部屋の中にも旅先で出会った物がある。

たとえば、テーブルの上に長いこと飾っている白い額縁の中は、パームスプリングスにあるBallantines Original Hotelのアドカード。
このホテルに泊まった訳ではないのだが(そして次に行ったときも多分泊まることはないのだが)、このカードは唯一、最初の旅で、私がパームスプリングスから持ち帰ってきた物だ。

パームスプリングスへ行った時、乗馬をしたり、食事をしたり、かなり濃密で楽しい時間を過ごしたのだが、なぜだかお土産屋には立ち寄らなかった。
そして、当時はあまり良いカメラを持っておらず、撮った写真もピンぼけだらけ。
私がこれまでしてきた旅の中でも、最高に楽しかった旅なのに、形ある物はあまり残っていない。
だけどこのアドカードを見ると、楽しかったあの旅がいつでも蘇る。唯一、あの旅の残り香を持つものなのだ。
それに、気に入って持って帰ってきただけあり、デザインもかなり気に入っている。

そして、その隣においてあるのは、故郷から来たクローバーともみじ。
四葉のクローバーは実家の前で、もみじは黒石市の中野もみじ山で父が拾ってきて、母が押し花のように本に挟んで、私にくれた。
このクローバーともみじは、いつでも私に故郷や両親を思い出させてくれる。
旅というのとは少し違うのかもしれないけれど、私の生まれた土地に根付いた植物の葉が、一緒に私の部屋にこうやって飾られているのは、なんだか故郷が身近に感じられて、とても愛おしい。

e0048530_23132586.jpg


お茶好きの私は、とりわけ日本茶と中国茶に目がない。
中国茶を入れる茶壺や茶缶は、大連や台湾で買って来たものを使っている。

この白い茶壺は、大連にある小さな個人経営の中国茶店で買った。
そこは、氷点下の大連で、温かな空気と温かな人達が迎えてくれる本当に居心地のいいお店で、気のいい店主さんと店員さんが1、2時間平気でお茶を出しながら、おしゃべりしてくれた。
お客さんは私達以外にはほとんどおらず、1、2時間いてもやっと一人入ってくるかどうか。
日本語が上手な店主さんと、日本語勉強中の店員さんがいて、私のように中国語を話せない人でも楽しく会話ができて、滞在中一番お世話になったお店だったかもしれない。

店主さんと店員さん二人と一緒に撮った写真が一枚だけある。
皆笑顔で、本当に気のいい人達だったし、九州に来たことのある店主さんは、いろいろ思い出話をしてくれた。
武威岩茶という中国茶を教えてくれたのもこの店主さんだ。今ではすっかり台湾青茶と同じくらい好きになった。

彼らは今どうしているのだろう?
旅では一期一会の出会いがたくさんある。
もう二度と会えない人に出会っては別れ、僅かな時間を共有しただけなのに、その人との会話やその人のしてくれた話、その人の国の生活に触れて、それは生涯、私の人生に影響を残す。

旅だけじゃない。毎日の生活だってそう。
十年前、当たり前のように一緒に働いていたバイト仲間も、大学の友達も、今はもう縁遠くなってしまった人がたくさんいる。何年前を思い出しても、そういう人が必ずいるのだ。
日頃あまり思い出すことのない、そういう出会いを一つ一つ数えてみると、今日も明日も、一緒に過ごせる人との時間を大切にしたいなと思えてくる。

e0048530_2327124.jpg


造花の向こうのコルクボードには、旅で出会った葉書やキーホルダーを下げてある。
この中には、シエナから、自分で自分に出した絵葉書がある。
海外に住む友人から葉書は時々頂くのだが、旅先から葉書をもらうというのはあまりなく、自分で自分に出して、ちょっとした喜びを味わってみることにしたのだった。

葉書には手紙の代わりに、その日の日記が書いてある。
シエナの町で何を見て、何を感じ、何に心が動いたか。
その時その日、その瞬間の自分の心が綴られている。
それが私とは違う航空便で、海を渡ってうちに届くというのは、ちょっとしたタイムスリップのようで、今読んでもなんだか胸が高鳴る。
過去の自分から届いた手紙。いわゆる日記なのだけれど、葉書というところに少しだけロマンがある・・・ように思う。
日記よりもずっと色濃く、旅の空気を纏っている。旅先の土地の匂いがする。郵便局のインクの染みや、書いているときの小さな汚れ。シエナの切手と消印。
旅の空気が、そのままこの葉書に収められているのだと思う。

こんなふうに、ストーリーのある物がこれからも手元に増えていったらいいなあ。
旅先の物だけでなく、大切な誰かから頂いた物だとか、なにか背景や理由があって巡ってきたものだとか。
ただの"物"ではなく、ストーリーを孕むもの。縁を孕むもの。
そういう物に恵まれるのは、とても嬉しいことだと思う。
[PR]
by norlie | 2013-11-16 23:35 | Lifestyle
 
旅のスクラップ
旅をしていると、写真がどんどん貯まっていく。
Macに入れておけば、かさむ心配もないのだけれど、アナログ好きとしてはどうしても気に入った数枚は現像したくなる。

以前は写真を現像してアルバムに綴じていたのだが、そのアルバムが棚の半分を占めるようになってからは、なんとかかさばらない方法で旅の思い出をアナログに残す方法はないかと考えに考え、数年前から始めたのが旅のスクラップ帳だ。

e0048530_16292939.jpg

一週間の旅なら2〜3ページ、2泊3日程度なら1、2ページ、日帰りならページ半分。
そのページに収まる分だけで書くと決め、写真も小さなサイズで現像してもらうようにした。
シールやマスキングテープで写真を貼り、手書きの文字で旅で感じたことを書き記す。

暇な休日にちまちま作り進めているせいか、やっと2011年の旅までスクラップしたところ。先は長い。
2〜3ヶ月手をつけないのもざらなのだが、特に急ぐ理由もないので、今のところペースが上がった試しはない。

e0048530_16384391.jpg

写真を選んで、レイアウトを決めて、ぺたりぺたりと貼付けながら、装飾して、コメントを書いていると、旅のときに感じた楽しさがじわじわと蘇ってくる。
ここでこんなことをしたなあとか、このご飯本当に美味しかったなあとか、天気や景色、気温、風の匂い、波の音から食べものの味わい、人との会話、笑い声、触った物の手触りまで、五感にまざまざと蘇ってきて、しみじみと楽しい旅だったなあと思い出す。

そして写真を見れば、その証拠とばかりに、とびきりの笑顔で写っている自分や友達、家族がいる。
この人、こんな嬉しそうな顔もするんだ、と発見したりもして、ああ、この人に会いたいなと思ったりもする。

e0048530_16392621.jpg

旅のスクラップだけではなく、私の部屋や生活の中には、旅先からやってきたものがいくつか入り込んでいる。
それは物だったり、習慣だったり、食べ物だったり、様々だ。

例えば、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の薬局で買った、白い陶器のカップ。
沿った曲線が美しく、トスカーナらしい温かみのあるデザインが気に入っているのだが、実は大きい割に量があまり入らない。
だけど、ある日、頂いた花のブーケをこのカップに飾ってみたところ、色鮮やかな花の色が白磁に映えて、とても綺麗だった。

それ以来、時折、花瓶として使われるこのカップ。
花を生ける度に、サンタ・マリア・ノヴェッラのあの厳かな雰囲気を思い出す。
高い天井、暗めの部屋に、仄かに灯る白熱灯。
アンティーク調の棚に整然と並べられた香水瓶や薬瓶、石鹸。
それに、薬局で相手をしてくれたお姉さんの上品な物腰や、品物を扱うときの綺麗な指先まで。

そんなふうに、旅の出来事を思い出す断片が、生活の中に少しずつ設えてある。
それは、この部屋や私自身の中に旅の記憶をスクラップしているようなものなのかもと、ふと思った。
この部屋にも、暮らしにも、ノートの中にも、もっと言ってしまえば、私自身の中にも、たくさんの旅の断片がスクラップされている。
それはなんとも幸せなことだなあと思う。
[PR]
by norlie | 2013-11-09 17:00 | Lifestyle
 
冬の針仕事、音遊び
このところ休日になると天気がすっきりしない。
加えて、9月末に風邪を引いてから、治った後も空咳だけがずっと続いていて、咳喘息と診断されてしまった。
熱もなく体はつらなくないのだが、少々話しづらいのと、こんな咳では友達と長時間会うのもはばかられるため、この週末は家でひっそりと過ごすことにした。
土曜に用事を全て済ませて、日曜夕方に少し約束があることを除けば、他はフリー。

久しぶりの休日。せっかくだから少し早いが冬支度でもしようかと、編み物や刺繍の本を開いた。

e0048530_143881.jpg


冬が来れば、必然的に家で過ごすことが多くなる。
そんな冬はいつも編み物を楽しむことにしている。

子供の頃から母に教わって、時々棒針編みをしていたのだが、実家を出てからはそれもしなくなった。
けれども、2009年の冬、中国・大連への2週間の出張中、暇を持て余して、かぎ針編みを始めた。
セーターは別に必要なかったが、かぎ針編みが得意とするモチーフ編みやコットン糸の編み物に惹かれたのと、必要なもの(毛糸とかぎ針)が小さくまとまるので、旅先へも気軽に持っていけたからだ。

冬の大連は最高気温も氷点下ということが多く、また夜に女性が一人歩きするのも怖かったので、平日の夜はホテルに籠った。
出張先の会社とホテルとはタクシーで20分程度だったし、それほど残業もなかったので、会社の皆と夕食を食べてホテルに戻っても、日本にいる時より大分自由な時間があった。
でも、テレビを観ても中国語はさっぱりわからず、見て楽しめるのはスターチャンネルとCNNくらい。
それで、出張先からの帰宅後は、いつも大きなダブルベッドの真ん中にちょこんと座って、その日の日記を書き、その後はぼんやりとスターチャンネルを見ながら、せっせと編み物に勤しんだのだった。

それ以来、一年中を通して暇なときに少しずつ編み物をしているのだが、冬はそれが断然はかどる。
何せ家にいることが多いので。

e0048530_14104252.jpg


そんなわけで、冬は作品が2、3個くらいできあがるので、今年は何を作ろうかなあと本を見た。

ちょうど編み針などの小物入れが欲しいと思っていたので、ペンケースがいいかなと思った。
巾着も可愛かったが、あまり用途が思いつかないので保留。
それから、スタークロッシェ編みのマフラーに挑戦してみようかと思う。
ぴったりの糸が見つかれば、モチーフ編みのマフラーも一つ、作りたい。

夏から少しずつ数を増やしているレース編みのドイリーは、引き続き数を増やしていこうかなと思う。

それから、今年は刺繍も少しやってみようかと思っている。
先日気づいたのだが、時々雑貨屋さんで「あ、これいいなあ」と思うものは、大抵、無地に刺繍がついているものだった。
あるいは、無地の布製品を見ると、「これにこんな刺繍が入ってたら欲しくなるのにな」と思うこともあった。

ああ、自分はそういうものが好きなのかと思ったら、自分でやればいいのでは?と気づいた。
そうすれば自分好みのモチーフを刺繍できるし、布も自分で選べる。

ココアを飲みながら、まずはどれからやろうかなあとノートにリストアップしていく。
持っている毛糸でできそうなものからかなとか、新しい色の毛糸を見に行こうかなあとか、夢はどこまでも広がる。この時間がたまらなく楽しい。

e0048530_1435565.jpg


話は変わるが、冬になるといつもピアノから離れてしまう癖がある。
ピアノのあたりがちょっと寒くて、億劫になるからだ。
いつもの練習曲の半分も弾かず、ただ指が動かなくならないように、ハノンとツェルニーを少しやって、ソナチネを一曲通して終了ということが多い。正直、ソナタは長過ぎて一曲保たない(笑)
そして終わったら、こたつにごろーん。

けれども、今年はこの冬のうちにマスターする曲を2曲選ぶことにした。
クラシックだけではなく、時期的にクリスマスの曲でもいいかなと思い、ジョージ・ウィンストンの"Carol of the Bells"の楽譜を引っ張り出した。
それから練習曲も、ハノンの代わりに、この冬はピシュナを使ってみようかなあと思っている。最近左手が思うように動かないので。
寒くなっても、積極的にピアノの椅子に座れるよう、頑張ってみようと思う。とりあえず心意気から。

そんな冬の企みを一つ一つノートに記した、日曜日。
明日は、冬に読む本と、冬に観たい映画をピックアップしようかな。
[PR]
by norlie | 2013-11-03 14:53 | Lifestyle