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黄葉の森を歩く@青森・八甲田 sanpo
10月中旬、北東北の紅葉の時期に合わせて帰省したいと思い、金曜の夜に新幹線に乗った。
月曜に休みを取って、土日をまるまる東北で過ごせる日程で、久しぶりの秋の紅葉を楽しみに帰った。

お天気に恵まれた週末、土曜日に向かったのは八甲田。
八甲田の山頂付近の紅葉は見頃が終わって落葉時期に入っており、この時期は中腹が丁度いい見頃を迎えていた。
来週はこの紅葉が山を下り、奥入瀬渓流の紅葉が最盛期になる。
その時期とは少しずれてしまったが、八甲田中腹の紅葉と言えば、蔦沼めぐり。
そんなわけで、数年ぶりに蔦沼の森を散策することにした。
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静かなブナの森はすっかり黄金色に染まっていた。
頭上を覆う見事な黄葉に思わず溜息が漏れた。

散策路に沿うように流れる小川は仄暗く、一見少しも水が動いていないように見える。
全く動きのない水は、暗くても透明度が高いのか底まではっきり見えた。
水底でめだかぐらいの小さな魚がたくさん泳いでいる。
一枚のもみじがひどく緩慢に、1秒5mmくらいずつゆっくりと水面を動いていくので、ちゃんと流れはあるんだとわかった。

こうやって足を止めて、目を凝らし、じっくり見つめて、はじめて森の息づかいが聴こえてくる。
そのくらい静けさに満ちた森。
でもその静けさは決して重苦しくなく、空気がとても澄んでいて、心地いい。

蔦沼に来たのは、数年ぶりのこと。
ああ、ここって、こういう森だったと改めて思い出したのだった。
この感覚を随分長いこと忘れていた気がするなあ。
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『蔦沼』というのは、八甲田の蔦温泉の裏手の森にある沼の一つ。
その名前が一番知られているので、1つの沼と思われがちだが、実際にはいくつかの沼が点在している。
蔦沼、長沼、菅沼、ひょうたん沼、鏡沼、月沼、赤沼という湖沼群は『蔦の七沼』と呼ばれているけれども、赤沼は遠いので、散策路から巡れるのは赤沼以外の6つの沼である。
地図で見ると赤沼はかなり大きいようなので、いつか見てみたいなあと思ったりもする。

この日、森の中はぴたりと風がやんでいて、水面が鏡のようになっていた。
さざ波も立たない暗い沼は、水鏡がくっきりと紅葉を映し出す。
水に映る紅葉は色々な場所で見てきたけれども、いつも少し波立っていた。
ここまで完璧な鏡のような状態は、私は見るのが初めてだった。

シンメトリーな紅葉が目の前に広がっている。
上と下、両方に向かってブナの枝が伸び、天にも地面にも紅葉が見える。
森の中だからこそ波が立ちにくく、光が遮られて仄暗いからこそ、昼間なのに鏡の条件が揃う。
沼ならではの不思議な世界観に、足を縫い止められたように魅入ってしまった。

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森の面白さは沼だけにあらず。苔もかなり面白い。
久しぶりの、めくるめく苔世界。
散策路のあちこちに、不思議な苔が生えている。
小人目線で近寄ってみると、それはナウシカに出てくるような森のようでもあり、ふかふかの緑の絨毯のようでもある。
奥入瀬も苔が豊富で面白いが、蔦の森もまた面白い。(余談だが、蔦の森はきのこも豊富)

楽しい散策を終えて、蔦温泉に戻ってくると、燃えるような紅葉が空に向かってぶわっと広がっていた。
森へ入る人、森から出てくる人が行き交っている。でも、ごった返すような混雑ではなく、ちょうどいい。
青森はこういうところが好き。

一人で歩く人、家族で来る人、二人で来る人。
皆がそれぞれの森を楽しむ季節。冬が来る少し前の、八甲田の愉しみです。


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by norlie | 2015-10-25 20:06 | ぷらっと青森
 
白鳥と八戸ランチ、思いがけない再会
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帰省の折、ふいに白鳥に会いたくなって、近くの白鳥飛来地に行った。
ここへ来るのはもう何年ぶりだか思い出せない。
数年前に、鳥インフルエンザ対策で餌やりが自粛されてから、飛来する白鳥がかなり減って、ほとんど来ない年もあったと聞いていた。
それもあって、白鳥はいないかもしれないと思いながらも、ほんの少し期待する気持ちを抱えて飛来地へ向かった。

池を覗くと、そこには期待していた白鳥達の姿。
粉雪舞う冬空のもと、白鳥達の賑やかな声に、思わず笑顔になる。
「お前達に会いたかったんだよー。よく来たねえ」
遠いシベリアの地から冬越えのためにやってきた渡り鳥達。どうしたってねぎらう気持ちでいっぱいになる。
久しぶりに聞けた賑やかな声に囲まれながら、楽しいひとときを過ごすことができた。

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帰省するといつも行く南部町のKEKU CAFE。
昨年改装して以来、営業時間が少し変わったりして、一時期ランチをやっていなかったそうなのだが、この秋より再びランチを再開したとのことで、食べに行って来た。
ここのガルガネッリが大好きなのだが、残念なことにランチでは2種類のパスタからしか選べないようで、この日はガルガネッリがなく食べられず・・・。残念。
でも生パスタもガルガネッリ同様とても美味しいので、お腹は満足。
この日は『南部太葱とベーコンの麹南蛮ソース』というパスタを頂いた。和風の麹ソースがまろやかでとても美味しかった。
食後はいつものカプチーノ。相変わらず、ラテアートが可愛い。

また、別の日に行った中華料理店『福満楼』では、ちょっと嬉しい、そして俄には信じがたいような再会があった。
お店に入って、接客をしてくれた店員さんの顔を一目見て、その既視感のある風貌にびっくりした。

それは2009年に出張で滞在した大連でのこと。
以前の記事(瑞祥茶庄@中国・大連)で書いた、友好広場の角にある瑞祥茶庄というお店には、日本語を話せる店員さん二人と店長さんがいた。
何時間も座ってお茶を飲みながらおしゃべりをしてくれて、本当に温かくて居心地の良い時間を過ごせた大好きなお店。
そのとき、その店員さん二人と店長さんと、記念に写真を撮らせてもらった。
その写真は今でもアルバムに大切に残っている。

八戸の行きつけの中華料理店で出会った店員さんの風貌は、2009年に大連の瑞祥茶庄で出会った店員さんそのままだった。
写真が手元にあって、度々見ていたから、見間違うとは思えない。
でも、2009年の冬に大連にいた中国人の彼女が、2015年の冬、日本の、しかもこんな片田舎にいるとも思えない。
当時の写真を持ち合わせていた訳ではなかったので、自分の記憶違いだろうかとも思ったが、それにしてもよく似ていた。
接客してもらう過程で、彼女の発音から中国人であることも分かった。
でもまさか、そんなことって。

勇気を出して、聞いてみた。まずは少し会話をして、中国の話をする。
もし人違いだったら、すみません、知り合いに似ていて、と言おうと決めて、この一言。
「大連のお茶屋さんで働いていませんでしたか?」

それからはお互い驚いたり喜んだりで大興奮だった。
やはりそのお姉さんは、2009年大連にて、私が一緒に写真を撮ったお姉さんだったのだ。
遠い異国で出会ったお姉さんと、こんなところで再会するとは思わず、本当にびっくり。そして、何より、とても嬉しい。
記念にもう一度一緒に写真を撮って、日本に来た経緯や名前を聞いて、「また来ます」と言ってお店を出た。

以前の記事(瑞祥茶庄@中国・大連)で私はこんなふうに書いた。

「思い出の人に会えてよかったですね」
いい思い出と再会した人の顔は、とても優しい顔になる。
そこに立ち会えたことに、少し感謝する。
私もいつか、この思い出と再会できるといいなあ、と思いながら、空港に向かうタクシーに乗り込んだ。


こんな形で、あのときの思い出と再会できる日が来るなんて思わなかった。
この世界には本当に信じられないような縁があるんだなあと思うことしきり。
日々、出会う人、出会うものを、これからも大切にしていこうと切に思う出来事だった。

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by norlie | 2015-01-24 20:12 | ぷらっと青森
 
三沢航空科学館
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公式Webサイトが少し古めかしいので、地元の小さな施設程度かなと予想していたのだけれども、三沢航空科学館はその予想を見事に裏切ってくれた。
延床面積は10,840㎡。想像していたよりもかなり広い。
ガラス張りの近未来的な建築で、どこかの国際空港と言っても通じるような建物。
すぐ隣に三沢空港やアメリカ軍三沢基地が隣接しており、外を見ていると時折、訓練機や戦闘機が飛んでくるのも面白い。

展示物のスケールも見事で、航空自衛隊やアメリカ軍の協力の下、実際の小型飛行機が多数展示されている。
熱気球や、プロペラ機ではあるが旅客機もある。
外の大空広場にはブルーインパルスやF16戦闘機など、11機の戦闘機の実物が展示されており、いくつかは実際に乗ってみることもできる。
これは小中学生の子供が来たら絶対楽しいだろうなあと思った。

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ミス・ビードル号は、世界で最初に太平洋無着陸飛行に成功した飛行機。
パイロットはクライド・パングボーンとヒュー・ハーンドン。
青森県三沢市の淋代海岸を離陸し、アリューシャン列島、アラスカ、シアトル、そしてワシントンという飛行ルートで横断した。
出発地に淋代海岸が選ばれた理由は、粘土と砂鉄が混じった砂浜が滑走路に最適だったこと、当時の飛行ルートから考えて最短で行ける場所であったこと、偏西風に乗りやすい場所だったことから選ばれたのだそうだ。
1931年10月5日、約41時間の飛行の末、ワシントン州ウェナッチ市に着陸し、二人は北太平洋を無着陸で横断した最初のパイロットとなった。

ミス・ビードル号の話は子供の頃からよく聞かされたので、私にとってもビードル号は特別好きな飛行機になった。
朱色の機体の側面に、"Miss Veedol"とビンデージ風の字体で書かれていて、かっこいい。
三沢航空科学館の中にも、ミス・ビードル号のレプリカが展示されている。航空機倉庫を模したインテリアになっていて、燃油缶が置かれていたり、当時の雰囲気を醸し出しているのがいい。
三沢市内には、ここの他に淋代海岸にもミス・ビードル号のレプリカがあり、何年も前に、そちらも見に行ったことがある。
活き活きとしたミス・ビードル号の姿。やっぱり愛着があるなあ。

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館内の展示物は、実際の小型旅客機や単葉機なので、スケールがとても大きい。
また、展示物以外にも、科学館らしく色々な実験や体験ができるコーナーも設けられており、私はヘリコプター操縦シミュレーションをやってみた。
結果はぼろぼろ。目標のバルーンをさっぱり割れない。
実際にやってみてわかったのだが、ヘリコプターの操縦って、操縦桿と横のギアレバーみたいなもので高さと傾きとスピードを同時にコントロールしなければならず、かなりのマルチタスク。
いくつもの計器を見ているうちに、機体がどんどん傾いてしまったり、ギアレバーに気を取られているうちに操縦桿をずっと倒したままにしてしまったり、操縦士の方はすごいなあと実感した。

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外には戦闘機が多数展示されており、そう言うのが好きな人や子供達にはきっとたまらないだろうなあと思う。

実は私も、一時期、飛行機にとても興味を持ったことがある。
とは言っても旅客機や近代の戦闘機ではなく、興味があったのは、1920〜1940年代頃の複葉機。
第一次世界大戦で活躍した、フォッカーやアルバトロス、ニューポール"ベベ"、スパッドやソッピース・キャメルなど、プラモデルがすごく欲しかった。(でも子供だったので買えなかった)

そう言った知識の繋がりと、女性としての憧れから、アメリカの女性飛行士アメリア・イアハートも好き。
女性として初めて大西洋単独横断飛行に成功した功績や、知的でチャーミングなイメージが好きで、映画『アメリア 永遠の翼』を見て、更に好きになった。
コメディではあるが、『ナイトミュージアム2』でエイミー・アダムスが演じたアメリア・イアハートも、ユーモラスかつチャーミングで良かったなあ。

今はプラモデルを買うほどではないけれども、やっぱり複葉機の名前を聞くと少しテンションが上がるし、展示物の説明にアメリア・イアハートの名前が出ると立ち止まってじっくり読んでしまう。
そういう意味でも、三沢航空科学館は結構楽しかった。

帰るとき、「なんで八戸に住んでいたときに来たことがなかったんだろう?」と不思議に思って調べたら、三沢航空科学館ができたのは2003年とのこと。
その頃にはもう横浜に住んでいたので、そりゃ来たはずもない訳で。
今の青森の子供達には、こんなに立派で面白い施設があるなんて羨ましい。

全国レベルでも十分に通用する、スケールの大きさと質の高い展示物なので、県外から訪れる人にも是非来てほしいなあと思うことしきり。
特にお子さん連れのご家族に是非オススメです。
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by norlie | 2014-11-12 22:53 | ぷらっと青森
 
斜陽館にて、太宰を知る
十三湖からまっすぐ帰る予定だったが、せっかくここまで来たのだからと、五所川原の斜陽館に寄って行くことにした。
五所川原市の重要文化財・旧津島家住宅は、小説家・太宰治の生家であり、多くの人が訪れる観光地でもある。
16時半近く、閉館時間に近いにもかかわらず、土曜ということもあってか、随分多くの人で賑わっていた。

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太宰治の生まれた津島家は、県下有数の大地主で、太宰治の父は衆議院議員も務めたことのある地元の名士なのだそう。
邸宅もかなり広く、1階が11室、2階が8室あり、津島家が手放した後、近年まで旅館として使われていたというのも頷ける。
外観通りの伝統的な和室かと思ったら、母屋の一部にはまるで横浜の西洋館で見るような洋風の階段や洋室もいくつか見られた。
見た目とは打って変わって、かなりの和洋折衷建築だ。
太宰治ってものすごいお坊っちゃんだったんだなあ。

青森県の作家と言えば、真っ先に名前が挙がるほど「太宰治」は有名だと思う。
でも、私は彼の作品を全く読んだことがない。
子供の頃からどちらかというと岩手の宮沢賢治の作品に親しんでいて、「地元ゆかりの作家は?」と聞かれれば、多分「(隣県だけど)宮沢賢治」と答えてしまうと思う。
有名な『走れメロス』は、かろうじて学校の演劇鑑賞で観劇したので、ストーリーだけは知っており、『走れメロス』自体は、子供心に、友情と約束にまつわる良い話というイメージを持っていた。
けれども、太宰治と言うと、何となく"ずーん"と暗いイメージがつきまとっていて、あまり著書を手に取らなかった。
私自身は太宰治について、何一つ知識はなかったのだけれど、なぜだか彼には、触れると気分が滅入りそうな印象を勝手に抱いていた。

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斜陽館で、彼の作品のあらすじを少し読んでみたけれども、そこまで暗いと感じるような話ばかりではなく、色々なジャンルの小説を執筆しているなあと感じた。
『津軽』という作品を、少し読んでみたいなあと思ったりもした。

むしろ暗いイメージは、作品よりも、自殺を繰り返した彼自身の生き様のほうが原因だったよう。
丁度来ていた団体観光客の中に、「愛人と自殺ばっかりするような男は嫌いだから、俺は入んねえ」と言って、斜陽館に入らずに外で待っていたおじさんを見かけた。
確かにそうだよね、と思った。私にとっても、あまり好きなタイプじゃない。

そんな中、斜陽館の中の展示物の中に、ふと彼の印象を覆す物を見つけた。
それは太宰治が新婚の姪御さんへ宛てた手紙。
大変なこともいっぱいあるだろうけれど頑張って。
君の名前にはこんな意味がこめられているんだよ。その名前の通り幸せになってほしい。
叔父さんは君の幸せを心から願っています。
そんな感じの内容だったと思う。
なんというか、私が思っていた文豪・太宰治のイメージではなく、どこにでもいそうな、親しみやすい優しい叔父さんという感じだった。
手紙の文章から滲み出る、姪可愛さと優しさが妙に印象的で、彼もまた一人の人間であり、色々な一面を持っていたんだなあと思った。
"叔父さん"太宰治の姿は、とても人間味があって、好感が持てた。
彼に抱いていた、気が滅入るようなイメージは少し払拭されたような気がする。
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by norlie | 2014-11-07 21:51 | ぷらっと青森
 
名道・竜泊ラインから十三湖へ
「竜飛崎へ行くなら、ここは絶対に行かなきゃダメだよ!」と友人から言われたのが竜泊ライン。
国道339号線のうち、小泊から竜飛崎までの区間は、景観豊かな名道として『竜泊ライン』と呼ばれている。
竜飛崎を楽しんだ後は、この竜泊ラインを南下して、十三湖へ向かうことにした。

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竜飛崎を発ち、『竜泊ライン』と書かれた標識を通り過ぎると、山岳地帯が始まる。
起伏の激しい山々に張り付くように巡らされた道路は、どんどん上昇していく。
その最高地点には眺瞰台と呼ばれる展望所がある。

眺瞰台から見下ろす、この見事なワインディングロードが竜泊ラインの名所の1つ。
龍が登っていく姿のように、うねうねと這う山道が、遠く海岸線まで続いている。
そしてそのずっと先には岩木山や津軽平野が見えた。

私のカメラでは全貌を撮りきれないのが残念。
この景色を写真で撮れる、超広角レンズが欲しいよ!

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振返ると、半島の先に竜飛崎も見えた。
岬で見た白い風車が回っている。海峡を抜ける風と、その先に広がる北海道の大地。
竜飛崎では、高く、大きく見えた急崖が、眺瞰台からはずっと下のほうに見えた。
あそこから車を走らせてきたんだなあ。

眺瞰台は竜飛崎寄りの位置にあるので、竜泊ラインはまだまだ続く。
これからこのワインディングロードを駆け抜けるのだ。

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とは言え、こんな激しい山道を文字通り「駆け抜ける」なんてできるはずもなく、終始のろのろ運転で進んで行く。
激しいアップダウンに、まるでレースゲームのようなヘアピンカーブの連続。
道路に沿って、山と海と空が上下左右する景観に、一行は「すごい!こんな道路初めて!」と大興奮。

どんどん日本海側に近づいて行く。
前方に見える小泊半島が、降り注ぐ午後の陽光に煌めいて、光の海みたいに見えた。
心癒される、美しい景色だった。

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竜泊ライン2つ目の名所が、このシーサイドロード。
山岳地帯を抜けると、やがて道路は完全に海沿いに出る。
独特の奇岩が連なる地形で、山裾に張り付くように道路が続いて行く。

竜飛崎方面から見たシーサイドロードの景色はまさに絶景。
思わず車を止めて、しばらく眺めてこの景観に浸ってしまった。
旅の楽しさをしみじみ感じるようなそんな場所。

西から吹き抜ける海風の中、波と山に挟まれた道を軽快に進んで行く。
同じ青森県、同じ海沿いでも種差海岸とは全然違う。こちらにはこちらでしか味わえない良さがあるなあとしみじみ思った。

奥津軽にこんな絶景と名道があったなんて聞いてなかったよ!青森県!
とても素晴らしい景観でびっくりした。
長年住んでいる住民が知らなくて、東京の友人のほうがこの道を良く知っていたなんて、やっぱり旅人の目線と情報収集力はすごい。
「超楽しいよ!」と教えてくれた友人に感謝。

竜泊ラインと竜飛崎は、天気の良い日暮れ時には全く違う顔を見られるのだそうだ。
燃えるような夕焼けや、西日に照らされるつづら折りの道、日が落ちて行くときの竜飛崎の物淋しさ。
竜飛崎に泊まる日程で、いつかまた来たいなあと思った。
旅って本当に楽しい。

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竜泊ラインを抜けて、しばらく走ると十三湖に着く。
ここは、何年も前から「十三湖に行ってしじみラーメン食べてこようよ!」と誘っても、なかなか誰にも来てもらえなかった場所。
(それだけ、八戸からは遠い・・・。小川原湖で我慢しろと言われる。)

十三湖の畔、しじみ亭奈良屋さんにて、ついに念願のしじみラーメンを食べられる日がきた!
黒々とした大きなしじみがゴロゴロと入っており、スープを一口啜ると、しじみエキスたっぷりの白濁したスープが身体の芯まで染みる。
んー!想像してた通りの美味しさ。
何と言ってもこのしじみ出汁たっぷりのスープが良い。
ちぢれ麺があっさりした塩味のスープに絡んで、とても香ばしい。

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お腹が満たされた後は、十三湖の畔でひと休み。
海と繋がる汽水湖である十三湖は、カルデラ湖のような美しい水色ではないけれども、だだっ広い荒涼とした景色が心に染みた。
午後の日差しにキラキラと輝く湖面が眩しい。
周囲はとても静かで、水辺に座ると、打ち寄せる穏やかな小波が、ちゃぷっ、ちゃぷちゃぷんと変わった音を鳴らしていた。
まるで何かの楽器のよう。澄んだ綺麗な音。
その音を聞いているだけで十分ヒーリング効果があって、いつまでもそこに佇んでいたいような気がした。
とても離れがたい場所だった。
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by norlie | 2014-11-01 14:13 | ぷらっと青森
 
ごらんあれが竜飛岬、北の外れと
関東で暮らしていると、たまに「青森に行ったことがある」という人に出会う。
中でも、思った以上によく出会うのが「竜飛岬に行った」という人たち。

「風が強くて、景色が雄大。他の場所にはない最果て感がある」
「荒涼としたあの雰囲気がまたとてもいいんだよ」
「夜、イカ釣り漁船の漁り火が見えて、とても胸に残るすばらしい景色だった」

老若男女様々だが、みんな口を揃えて「行ってよかった。すばらしかった」と言う。
青森に住んでいたときは、「はあ? 竜飛岬? あんなとこ、何もないでしょ?」という印象だったのに、どんどん自信が失せていき、いつしか「私も行ってみたい」と思うようになっていた。

というわけで、以前の私同様に「竜飛岬なんて行って、どうするんだ? 何もないんじゃないのか?」とモチベーションの低い家族を説得し、皆で津軽半島の先端へ行ってみることにした。

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青森市から国道280号線を北上し、蟹田から山道へ入る。
やがて津軽半島最北の町・今別町に入り、山道を抜けると、青い海が広がった。三厩湾だ。

青森県の中でもかなり外れの場所になるので、何と言っても人がいない。コンビニもない。
でもそれがまたとてもいい。
都会にはない、辺り一帯を包む静けさ、のーんびりとした時間の流れ、海の美しさ。

高台にある義経寺へ登って、三厩漁港を見渡すと、随分海が綺麗であることに気づいた。
北の海と言うと、黒々とうねる荒波のイメージだったが、今日は天気も穏やかで風も少ない。
海はところどころくっきりとエメラルドグリーンになっていて、綺麗さがうかがえた。

三厩湾を挟んで、奥のほうに尖岳や坊主岳などたくさんの山々が見える。
津軽というとどうしても田園風景のイメージが強かったが、それは弘前周辺の地形であって、津軽半島の北側は起伏の多い山々が連なっているんだと、車で走ってみるとよくわかる。

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三厩から海岸線を走り、竜飛崎へ向かう。
陸地すれすれまで山が迫り、その山と海との間を縫うように通る国道339号線の景色が素晴らしい。
既に、海の向こうに北海道が見えている。目の前に広がる北海道の地に、テンションが上がる。

ついに津軽半島最北の地・竜飛崎へ到着。
眼下には竜飛漁港が広がっている。
小さな岩礁をつなぐように堤防が作られた可愛らしい漁港を見下ろす高台に、竜飛岬はあった。

「龍が飛ぶが如く風が舞う」という風の強さに由来する竜飛岬。
この日は雲の多い快晴。
確かに岬から見える3台の風車は回っていたけれども、風は随分穏やかで、今日なら龍も眠っているんだろうなという感じの日だった。

竜飛漁港の奥、津軽海峡を挟んだ向こう側に見えるのが北海道の地・松前半島。
JRの青函トンネルは、まさにこの海の真下を通っている。
ここまで来ると、このままちょっと北海道に渡って、観光したくなってしまう距離だ。

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「国道なのに車が通れず、国道なのに階段」という珍しさで有名な"階段国道"。
テレビで取り上げられているのを何度か見たことがあったが、この階段国道は、竜飛岬から漁港に降りるためのものなのだそう。
公園にありそうな幅1メートルくらいの階段の脇に、国道339号線の標識。
三厩からの国道がこの階段まで続いているということらしい。

階段国道を降りると漁港へ行ってしまうので、そちらへは行かず、岬の高台のほうへ上がって行く。
先にあるのは白亜の円形灯台・龍飛埼灯台。
よく見る灯台は塔形をしているけれど、ここの灯台は円形で背が低い。
竜飛岬自体、海抜100メートル近くある急崖の上なので塔形にしなくても、見晴らしはとてもいい。

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竜飛岬は、津軽半島の先端に尖って張り出した岬なので、三方は急崖になっている。
海抜100メートルほどもあり、かなり高い。落ちたらひとたまりもない高さ。
台地の上は緑豊かで、紫陽花や野草、ススキが広がり、確かに荒涼とした岩場も見えるけれども、十分に自然の豊かさが見て取れた。

前方には北海道、右のほうには下北半島(仏ヶ浦も)くっきりと見える。
後方には津軽半島の日本海側の海岸線から小泊半島までが、乱反射する海にきらきらと輝いて見えた。
清らかで美しい景観美。まさに風光明媚という言葉が相応しい。

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津軽海峡には小さな白い漁船が多数行き来していた。
イカやマグロの好漁場なので、北海道や青森、あるいは様々な場所から漁船がやってきてはせっせと働いている。
夏から秋にかけてはイカ釣り漁船が出回るので、夕焼けの美しい日には、赤く染まった水平線に、遠くイカ釣り漁船の漁り火が灯っていく景色が見えるのだそう。
最果ての地で、何とも旅情を誘う絶景らしい。
うーん、見てみたい。

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松前半島の西側に小さな小島が見えた。松前小島だ。
本当ならばその後ろに大島も見えるのだけれど、この日は遠方が霞み、よく見えなかった。
それでも、茫々とした海の向こうにぽっかりと浮かぶ小島は、なんとも胸が高鳴る光景で、思わず船で漕ぎ出したくなる。
旅の高揚感を誘う風景だと思った。

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北国の紫陽花は遅い。とは言っても、さすがに7〜8月くらいには咲くので、9月はもうとっくに終わりの時期なのだが、岬の途中に、丁度綺麗に咲いていた紫陽花があった。
9月も半ば、こんな時期に青紫陽花に会えるなんて、なんだかとてもお礼を言いたいような気持ちになる。

丁度お昼に差し掛かり、岬の食堂で岩海苔ラーメンを頂いた。
あっさり醤油味のスープに、岩海苔がたっぷり、大きなホタテが2つ、美味しかった。

竜飛岬へ登る手前には、この地を一躍有名にした、石川さゆりさんの名曲『津軽海峡・冬景色』の歌詞を綴った歌謡碑がある。
そこには、つい押したくなるようなボタンが一つついていて、ポチッと押すと、この雄大な景色に響き渡るような大音量で、「ジャッジャッジャッジャーン!ジャッジャッジャッジャーン!チャラリラー」と前奏が流れ始め、あまりの音量にびっくりする人続出。
そして、耳に馴染んだあの名曲が、結構長い時間大音量で流れ続ける。もちろん止める術はない。
この日は日曜日。観光客も多かったようで、竜飛岬にはいつまでも、来る人来る人が押し続ける『津軽海峡・冬景色』が鳴り響いていた(笑)。

ここに何もないなんてどうして思ったんだろう。
一つの崖の上から、どちらを向いても違った土地が見え、違った景観が見える。
洋々と揺蕩う津軽海峡。高台から、いつもより近くに広がる空と雲。
風が作った岬には、"最果て"という言葉の響きに負けないくらいの風情と、旅情を誘う景観があった。
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by norlie | 2014-10-25 17:21 | ぷらっと青森
 
車で巡るみちのく潮風トレイル(階上区間)
先日の階上岳登山の際、図らずも、みちのく潮風トレイルの階上区間チェックポイントの一つ、フォレストピア階上でスタンプを押すことができた。
せっかくなので、階上区間の他のチェックポイントにも行ってみることに。
ただし、今回は歩きではなく、車で出発。

先日、八戸区間を踏破した際に歩き始めた大久喜漁港を通り過ぎ、さらに南下する。
このあたりの海沿いを走ったことはないので、見たことのない景色の連続で、ドライブがとても楽しい。
大蛇漁港を通り過ぎ、次の追越漁港にある坂下商店さんが最初のチェックポイント。
坂下商店は釣り具や日用品を置いている個人商店さんで、海の目の前にある。
海釣り用の釣り船も出してくれるとか。

お店の中に入ってスタンプを頂く。
何も買わないのもちょっと申し訳なく感じて、なぜか片栗粉とあさげのお味噌汁を購入。
釣り竿を持ってきていたら、釣り餌でも買ってこのあたりで釣りをしたかったなと思った。
このあたりの海で釣れるアブラメは最高なんだよね。お刺身で食べたい。
そういう道草も楽しそう。

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みちのく潮風トレイルの公式ルートとしては、階上駅のところから一度大きく内陸に入って、階上岳のほうへ行き、また海沿いに戻って来て、最後のチェックポイントである野村酒店に行く・・・というもの。
が、階上岳周辺は、先日の登山のときに踏破済みだったので、そのまま海沿いを走って野村酒店へまっすぐ向かう。

野村酒店があるのは小舟渡漁港。
小さな漁港には舟が何艘か上がっていて、誰もおらず、波の音がのんびりと耳に優しい。
一番忙しい早朝の後の、長閑な時間帯の漁港。天気もよく、暑くもなく寒くもない。
これは気持ちいいなあ。

漁港って、すごく好きだ。
日本全国いろいろな漁港に行ったけれど、どの漁港もみんな人懐っこくて、長閑で、豪快な感じがする。
そして、どの漁港にも共通しているのは、気持ちいいくらい広々とした海景色。
その中に入り交じる、自然と隣り合わせの場所で働く人達の緊張感。

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野村酒店でスタンプを頂いた後は、階上岳のほうへ車を走らせ、先日の登山では立ち寄らなかった寺下観音方面へ。
階上岳の登山口はいろいろあるが、寺下観音もまた、登山口の一つになっている。

そんな寺下観音のすぐ傍にあるのが、チェックポイントの一つ、観音茶屋・東門。
階上町の特産品の一つ、早生蕎麦を頂ける食事処で、中に入ると山小屋風の、とても風情のある内装になっている。
重厚な木の造りで、吹き抜けの天井近くには幾重にも立派な梁が見えた。
2階へ登ってみると、梁の隙間から1階の店内が見え、こちらもまたとても雰囲気が良い。

こちらでは昼食にお蕎麦を頂くことにした。
平日であるせいか、このあたりで働いている思われる作業服のおじさん達が何組かやってきて、ランチを楽しんでいく。
中には一人で来る人もいて、この雰囲気の中、静かな休み時間を楽しんでいるように見えた。
お昼休み、一人でほっと一息って感じ。

そういえば、こちらのお店は、夜は地元のジャズ喫茶にもなるようで、店内にはグランドピアノやドラムセットも置いてある。
玄関先には、ジャズライブの広告や、アマチュアバンドのCDなども置いてあって、隠れた穴場と言った感じ。
1998年からあったお店のようだけれども、全然知らなかった。
いつか夜にも来てみたいなあ。

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これで、階上区間全てのスタンプが集まったので、観音茶屋・東門で区間踏破認定証とピンバッジを頂く。
実際に歩いたのは階上岳だけだけど、今まで知らなかった階上町の魅力が色々分かったので、まあ、良しとする。

帰り道、階上町で毎年ひっそりと植えられている田んぼアートを見て行くことに。
稲が伸びて少し絵柄がぼんやりしているが、白馬と仔馬。
田舎館村を見てきた直後なので、どうしてもあちらと比べると出来には差があるが、地元の人が一生懸命植えたんだなあとちょっと胸が温かくなった。

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このときは全く気づかなかったのだが、階上町の田んぼアートは、毎年干支をテーマにしているとのこと。
それで、馬だったんだなあ。
見たときは「なぜ、馬? 近くに家畜小屋があるからか?」と、見当違いなことを考えていた。
こちらのサイトさんに過去の田んぼアートが掲載されていて、個人的には2011年の「うさじいとどーもくん」を見たかったです。
来年は羊。可愛い絵柄になりそうな予感。また見に来よう。

田んぼアートの傍には、可愛らしいピンクの花が咲いていた。
いいなあ、こういう景色好き。

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という訳で、階上岳登山をきっかけに頂くことができた、階上区間の区間踏破認定証とピンバッジ。
実際には踏破していないけれども、もらうと嬉しい。
階上区間のピンバッジは、灯台とツツジ。とても素敵なデザインのピンバッジでした。
八戸のピンバッジもそうだけれども、町のシンボルが描かれているイラストがすごくいいなあと思う。
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by norlie | 2014-10-22 12:38 | ぷらっと青森
 
青森ウォーターフロントにて (ワ・ラッセ & A-FACTORY)
田舎館村で田んぼアートを見た後は、そのまま車で青森市のウォーターフロントへ。
数年前に東北新幹線が青森市まで開通してから、このあたりは、青森駅を中心に観光客向けの施設が充実してきているとのこと。
私自身は、もうずっと子供の頃に観光物産館アスパムへ来たのが最後だったので、記憶にあるのはアスパムの三角の建物だけ。
せっかくなので、久しぶりに再訪してみることにした。

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まずは、2011年にオープンした『ねぶたの家 ワ・ラッセ』へ。
ここはねぶたの博物館になっており、その年の祭本番で使われたねぶたのうち、優秀作品に選ばれたものが数台展示されている。
また、歴代のねぶた絵師の系図や、ねぶたの部品や構造、ねぶた祭りの紹介VTRなどを見ることができる。

"ワラッセ"は、多分ねぶた祭りの掛け声の「ラッセラー」に由来した名前だと思う。
ねぶた祭と言えば、壮大な"ねぶた"の山車と、"ハネト"と呼ばれる踊り手を中心に街中を練り歩く、青森県最大の夏祭り。
「ラッセラー、ラッセラー、ラッセラッセラッセラ!」という掛け声と共に、右足でケンケン、左足でケンケン、と飛び跳ねながら進むので、祭りの参加者を"ハネト(=跳ね人)"という。
ハネトは地元の人だけではなく、観光客も自由に参加できる。
夏の宵闇に笛と和太鼓の音が響き、華やかな山車を中心に、「ラッセラ!」と掛け声が響き渡る、そんな一週間。

そういうねぶた祭りの雰囲気を、『ワ・ラッセ』では少しだけ味わうことができるのだけれど、やっぱり本番の迫力や熱狂は伝わりにくいものがあるなあと実感した。
確かにねぶた祭りの中心となる"山車"はこの施設でよく見られるのだけれど、ねぶた祭の魅力は"山車"だけではない。
夏の夜のあの空気、お腹に響く和太鼓の音、踊り出したくなるような笛の音。
その中を、力強く華やかな山車が人力とは思えないような速いスピードで動き、大勢の人達が熱狂的に舞う、あの迫力。
それらが一体となって、毎年多くの人を魅了するねぶた祭りが完成する。
"形"以外のものまで展示するのは難しい。
やっぱり一番は、祭り本番に来ること、なのかな。

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ねぶた祭のときに灯籠の役割を果たしてくれるのが、この"金魚ねぶた"。
実は子供の頃、小学校の友達がよくこれを持っているのを見て、密かに「可愛いな」とずっと思っていた。
このまあるいフォルム、きょとんとした目、夜を照らす温かな灯り。
『ワ・ラッセ』の中には、金魚ねぶたが集団で飾られている道があり、思わず可愛くて長居してしまった。
金魚ねぶたのストラップとかがあったら欲しいなあ。

また、ちょっと面白かったのは、施設の中にある「ねぶたの顔を書いてみよう」というコーナー。
コンピュータ上で書くのだけれど、あれほどまでに長年見てきたねぶたの顔なのに、いざ書こうとすると全く出てこない。
あれ、眉毛ってどんな感じ?
目ってこんな感じじゃなかったっけ?
口ってどうなってたっけ??
最後に出来上がったのは、ねぶたとは似ても似つかぬ、ほんわかした顔。
「あれ、なんで〜!?」と思わず口にしながら、何度か書き直すもあまり上達しない。
自分の記憶がいかに適当かを思い知ったのだった。

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『ワ・ラッセ』を出ると、すぐ隣にあるのが『A-FACTORY』という商業施設。
2010年12月、『ワ・ラッセ』開業直前に先だってオープンした施設で、青森県の特産品や雑貨が売っており、飲食店も併設されている。
青森県産りんごを使用したシードルやジュースを施設内で加工していて、2階ではそれをテイスティングすることもできる。
三角屋根の工場が並んだような、それでいてスタイリッシュな外観で、観光雑誌で見てから是非一度行ってみたいと思っていた場所だった。

グッドデザイン賞を受賞した施設だけあって、外観も内装もとても洗練されていてオシャレな造り。
陸奥湾とベイブリッジを背景に、テラス席でのんびりくつろぐこともできて、個人的にとても好きな場所だなあと思った。

この施設に来たからにはこれを飲まねば!と"あおもりシードル"をオーダー。ノンアルコールのほう。
すっきりした甘さとシュワッとした炭酸が絶妙で、甘すぎず、美味しい。
港に吹き込む涼しい風と海の音が心地よく、すっかりリラックスできた。

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丁度夕方でお腹も空いていたので、キッシュやアップルパイ、ハンバーグなど、併設の飲食店で思い思いに買ってきて、座って食べることにした。

私が頂いたのは、『ことこと亭』さんの和風おろしハンバーグ定食。
青森県産の牛肉と豚肉を使ったふんわり柔らかいハンバーグで、フォークを入れるとジュワッと美味しい肉汁が溢れ、思わず唾がじゅるっ。
お、おいしそう・・・!
ハンバーグをぱくりと一口、お口の中に大満足が広がる。
あおもりシードルと一緒に頂いたので、シードルのすっきりした甘さがハンバーグのソースとマッチして、とても美味しかった。

青森駅前なので、観光客にも非常にアクセスがよく、青森県には珍しい洗練された一面を楽しめる『A-FACTORY』。
ねぶた祭りの片鱗を垣間見られる『ワ・ラッセ』。
この調子でウォーターフロントエリアがもっともっと活性化するといいなと思った。
そうしたらまた来てみようっと。
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by norlie | 2014-10-18 12:34 | ぷらっと青森
 
田舎館村・田んぼアートを訪ねて
黒石の町を抜けて田舎館村へ向かう。
広い田んぼ畑を通って村役場へ着くと、ここだとすぐに分かった。
近くで見るとどんな絵柄かは分からないが、この区画だけ様々な色の稲穂が実っていたからだ。

村役場の建物の展望台から見えるようになっているとのことで、1階でチケットを購入し、エレベーターで展望台に上がる。
今や、度々全国ネットでも取り上げられ、日本全国から観光客が訪れるようになったけれども、エレベーターや展望台の狭さから考えてそれを想定していたとは到底思えなかった。
この田んぼアートは、田舎館村にとっても想定以上の大成功だったんじゃないだろうか。

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先程、地上にいたときは何の絵柄かよくわからなかったけれど、展望台から見ると綺麗な天女と富士山が姿を現した。
これを稲だけで表現しているなんてやっぱりすごい。
天女様の表情とか、右手に持つお花とか、細かいところまでよく綿密に計算されていて、これを村民だけで植えたというのには驚いてしまう。

遠近法を考慮した図面になっているそうで、上から見たときに自然な角度で見えるように植えられているんだそう。
そこにはコンピュータによる図面処理も大きく貢献しているのだそうだ。
ITと町おこしがこういう形で結びつくのは、すごく興味があるなあと思った。

第2会場は、村役場から車で程近い、道の駅にあるという。
実は、私は第2会場のほうが楽しみだった。

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というのも、今年の第2会場の絵柄は『サザエさん』。
国民に愛される、お茶の間ほっこりアニメを田んぼアートで見られるなんて、思わず笑顔が零れる。
第2会場の図面は横に長く、私のカメラでは全体が収まらない・・・ので、先頭に入るサザエを優先し、波平&マスオは渋々画面外に。
広角レンズが欲しい・・・。

近年、第1会場が芸術的な絵柄で、第2会場が子供向けの絵柄というスタイルで毎年植えられているようで、昨年の第2会場は『ウルトラマン』だったとのこと。
私は『ウルトラマン』より俄然『サザエさん』のほうが好きなので、今年見に来られてよかったなあと思うことしきり。

第2会場で心に残ったのは、展望台から降りる階段に展示されていた、田舎館村のこれまでの田んぼアート史だった。
田舎館村の田んぼアートについて知ったのは、たしか2011年くらいのこと。
そのときにはもう、素人っぽさのない芸術作品になっていたので、初めからそうだったとばかり思っていたら、実は最初に始めた頃は今とは似ても似つかないとてもシンプルな絵柄だった。

こちらのサイトさんに、その展望台で私が見たのと同じ、これまでの田んぼアートの変遷が載っており、見るとわかるのだけれど、1993〜1999年までの7年間は、実にシンプルな岩木山を毎年描いていたとのこと。
2000年に新しい絵柄、それでも今と比べるとずっとシンプルな絵柄にチャレンジし、2001年にはモナリザに挑戦。
それでもこのモナリザは、かなりざっくり簡略化された感じになっていて、ポーズ以外は、「うーん、モナリザ?」って言う感じの仕上がりになっている。
それが、2002年の棟方志功からは、毎年ぐんぐん上達し、今のように大きく緻密な絵柄を描けるまでに至ったのだ。

この変遷は本当に興味深い。
最初の7年、同じ絵柄を繰り返し描いてきた習慣を破って、2000年にして最初に絵柄を変えてみようと言ったのはだれだったのか。
7年越しに、このプロジェクトを再び動かし始めたきっかけはなんだったのか?
2000年の新たな挑戦に始まり、毎年新しい絵柄や難しさにチャレンジして、今に至るまでどんどん上達させたのは、どんな人達の先導によるものだったのか。
プロジェクトを動かした人達やその発想に、ものすご〜く興味が沸いた。

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田んぼアートに使われている稲は何種類もあり、その多さにも驚いた。
第1会場の田んぼに、田んぼアートで使われている稲が順番に植えられていて、看板付きで紹介されている。
黄、黄緑、紫、赤、濃緑・・・と、お米一つとってもこんなにいろいろな種類があるんだなあ。

私は、日頃、普通のお米に紫黒米を混ぜて食べているので、この"紫"の稲が紫黒米かなあと思いながらしみじみ眺める。
私が普段食べているお米は、お前だったのね。

田んぼアートを上から眺めるのもよかったが、こうやって稲穂の傍を散歩するのも楽しい。
道端には、実りの季節を喜ぶように秋桜が咲いていて、可愛らしいなあと思ってしまった。

緑の稲穂には、もうお米が実っているようで、時期に稲刈りの季節がやってくることを予感させる。
重そうに頭を垂れる姿を見ると、"実るほど頭を垂れる稲穂かな"という言葉を思い出す。
本当に徳を積んだ偉い人や人格者、実力のある人ほど、頭を垂れて謙虚に振る舞うもの。
私も、別に徳を積んだとかではないけれども、年を重ねるほどに、謙虚な人間になりたいものだなあと思った。
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by norlie | 2014-10-15 00:11 | ぷらっと青森
 
黒石こみせ通り
観光地の一つとは思っていたが、それほど期待せずに訪れた黒石の中町こみせ通り。
古き好き黒い日本家屋が軒を連ねる、古都のような通りが見られるとはいえ、廃れたイメージも強い。
小さな商店街の通りを歩くだけなので、ちょっと立ち寄るだけにしようと思っていた。

ところが実際に訪れてみてわかったこと。
この中町こみせ通りの面白さは、通りだけにあらず。
伝統的な建物の中にこそ、魅力的な風景がたくさん隠れている。

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全体的に黒っぽい色を基調とした古い町屋風の建物が並ぶ中町こみせ通り。
昔ながらの引き戸や格子状の窓に、板張りのひさしがアーケード状に続いている。
こういった外の通りの景色ばかりを雑誌で見ていたが、ふとある建物を覗き込むと、そこにはレトロな明治・大正時代にトリップしたような酒店があった。

建物の中で商売を営まれていたのは『鳴海醸造店 菊乃井』さん。
200年以上続く"造り酒蔵"とのことで、この建物は酒蔵と住宅を兼ねているのだそう。
創業以前に建築されたと言われる建物は『鳴海家住宅』として、市の重要文化財に登録されているとのこと。

俄然心が引かれたのは、この古い建物が、今もそのまま酒蔵として使われていたことだった。
こういう伝統的な建造物は保存のために、見学用の施設になっていることが多いけれど、『鳴海家住宅』には今もそこに根付く暮らしと人の気配があった。
そういう意味で"生きている"古い建築物というのは本当に面白い。

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住宅部分も中に入って見せて頂くことができ、立派な庭の見える居間でのんびりと寛ぐこともできる。
まるでお屋敷にお邪魔しているような気持ちで、和やかな時間を過ごす。
よく手入れされた日本庭園に、池を泳ぐ赤と白の金魚。何とも言えない風情がある。
"見る"だけではなく、古き好き建物の中を"体験する"ことができるのはとても魅力的なこと。
重要文化財の家の縁側に、こうやって腰掛けられるなんて、素晴らしい贅沢だ。

『鳴海醸造店 菊乃井』では、ちょうどお酒の仕込みが終わった時期であれば、酒蔵を見学させてくれるのだそう。
明治・大正の香り漂う暗めの部屋の奥に、人が20人くらい入ってしまうんじゃないかという木製の大きな酒樽が見えた。
「その古い酒樽は今はもう使っていないんですよ。今は奥のほうの黒い樽で作っています」と物腰柔らかな若い男性が説明してくれる。
この風情ある建物のせいか、その人が来ている長い紺色の酒蔵エプロンのせいか、「絶対、菊乃井の若旦那だ」と思った(笑)

店先では日本酒を試飲させていただいたり、酒店の店員さんが建物についても色々と説明してくださって、とても好印象だった。
「この先にある高橋さんのお宅にも行かれてみてください。あちらは国の重要文化財になっていまして、中で珈琲も頂けるんですよ」
たっぷり鳴海家を楽しんだ後、店員さんのその言葉につられて、こみせ通りをさらに歩いてみることに。

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"高橋さんのお宅"と言われて、「近所の誰かの家なのか?」と思ったら、しばらく歩くと『国重要文化財 高橋家住宅』という家が目に入る。
引き戸を開けて、暖簾をくぐると、小さなカウンターの向こうに女性が立っていて、珈琲を頂けそうな大きな木のテーブルと椅子が目に入った。
ここで間違いない。

珈琲を頂かなくても自由に見学だけさせてもらえるようで、最初は庭をのんびり見せて頂いた。
その後、せっかくだしこの素敵な商家の雰囲気の中、是非コーヒーを飲みたいということになり、頂いて行くことにする。

カウンターの向こうの奥さんは、私より一回りくらい年上の女性のようで、気さくにおしゃべりをしてくださった。
黒石こみせ通りはよくテレビのロケでも使われるので、「あのタレントさんはテレビで観たまんまで・・・」「あの女優さんはカメラが回らなくなると全然違う雰囲気になるんです」「あのタレントさんもプライベートでお友達といらっしゃいましたよ」といろいろお話を聞かせてくれた。
また、このあたりの農家のお話や高橋家住宅のことなど、終始こちらの様子に合わせて自然にお話ししてくれるので、聞いているのがとても楽しかった。

「津軽ってリンゴだけじゃなくても桃もおいしいんですよ。
ちょうど頂いた桃があるので、今剥きますね。召し上がって行ってください」
ときれいに6つ割にされた桃をサービスしてくれる。
一口食べると、柔らかくて瑞々しく、甘くてとても美味しい。
りんごはともかく、ここへ来て桃を頂けるとは思っていなかった。
横浜でも夏じゅう買って食べている桃好きなので、これは非常に嬉しい限り。

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「そういえば今日は中秋の名月ですね」
この日は9月8日。ああ、そうですね、お月見をしたくなりますねえ、と答える。

「そちらの部屋には隠し部屋がありましてね。そこ、ちょっと出っ張っているところとか、部屋があるんですよ」
「へえ〜、隠し部屋まで!」
「その左側に窓がありますでしょ。その2階の高さにある細長い窓は、月見の窓になっていて、家主がここに座るとその窓から中秋の名月がきれいに見えるように設計したんだそうですよ」
「すごい、それは是非見てみたいです」
お話がとても面白くて、聞いていて飽きない。
まるでツアーの説明をしていただいているみたいで、ありがたい。

部屋の奥の障子の向こうから午後の日差しが入り込み、暗い室内を照らしていた。
高橋家住宅は、鳴海家住宅のように居間にあがることはできなかったが、由緒正しい旧家の風情がとてもよかった。

思った以上の長居をして、出発することに。
奥さんが、次の目的地である田舎館村の田んぼアートへの行き方を教えてくれた。
「第1会場と第2会場が少し離れているんですが、まず田舎館村の村役場に行かれるといいですよ。そこが会場になっていますから」
ありがとうございます、ごちそうさまでした、と会釈をして店を出る。

黒石の古き好き中町こみせ通り。
ここの魅力は通りだけにあらず。
建物の中に残る生活と、そこで店を営む人達の温かさ。
それこそが、この場所の面白さなんだと思う。
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by norlie | 2014-10-11 22:55 | ぷらっと青森