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東慶寺、梅見の春
2月の終わり頃、鎌倉で梅がほころんだという噂がちらほら聞こえてきた。
鎌倉では、2月の終わりから3月にかけて、多くの寺社仏閣に梅が咲く。
いずれも規模は大きくないが、そぞろ歩けば随所で花開く梅に出会える。
梅の便りを聞いてから一週間ちょっと待ち、そろそろ満開近くなってきたかなと思った頃に、ふらりと散歩に出かけてみることにした。

鎌倉の梅の名所と言えば、北鎌倉の東慶寺と二階堂の瑞泉寺、そして寺社ではないが十二所果樹園の梅林など。
この日は、ちょうど東慶寺の梅が見頃だと聞いたので、北鎌倉へ向かうことにした。

東慶寺の程近くにある、古民家を改装した食事処『蔵屋』さんで腹ごしらえ。
鎌倉野菜膳をいただいた。お野菜の天ぷらとけんちん汁が美味しく、また居心地も良くて思わず長居してしまう。

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けんちん汁で身体も温まり、お腹も満たされたので、東慶寺へ。
噂に違わず、東慶寺の梅は見頃を迎えていた。
参道を囲む両脇に、色とりどりの可愛い梅が花開いている。

ところで、「梅が綻ぶ」とはよく聞くが、「桜が綻ぶ」とはあまり聞かない。
綻ぶというのは、硬い蕾が解けるようにゆっくりと開いていくことを表現した言葉。
冬の終わり、春が近づくと、桜よりも桃よりも早く、一番最初に蕾が膨らみ始めるのが梅の花だ。
硬い蕾が、日一日とゆっくりとほどけて花開く様子を、今か今かと待ち望んで見つめる日本人の心が、「綻ぶ」という言葉にはよく表れていると思う。
待ち望んだ春がやっときた、その喜びが「梅が綻んだよ」という言葉にこめられている。
四季と共に暮らす日本人らしい、こういう日本語の繊細さは本当に素敵だなあと思う。

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一般的に、梅・桃・桜のなかでは、梅が一番最初に咲き、それに続いて桃と桜が咲く。
だからこそ、多くの人は、最も早く春の訪れを知らせてくれる梅を「綻ぶ」と言う言葉で表現するのだろうけれども、そんな日本人らしい「梅が綻ぶ」という感覚をちゃんと知ったのは、関東に出てきてからのことだと思う。
私の育った北東北や北海道では、梅・桃・桜がほとんど同時に咲くことが多い。だから、梅が最初に咲くというイメージがなかった。
普通は、桜よりも先に梅が咲くものなんだと、感覚的に知ったのは関東に来てからだ。

だから今は、「梅が綻んだ」と喜ぶ日本人の心がよくわかる。
梅が綻び、春が近いことを知る。近づいているとわかると、俄然楽しみになる。
春になったら何をしようかとしょっちゅう考え始める。
そして、街路樹の桜にピンク色の蕾が膨らみ、一斉に花が咲くと、「ああ、やっと春が来た」と思う。
花粉も一緒に来るけれども、まあ、それはそれとして、春が来るのは本当に嬉しい。
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東慶寺でひとしきり梅を堪能し、ぶらりぶらりと鎌倉方面へ向かう。
鎌倉街道の途中に、古い洋館を思わせる素敵な建物があり、洋菓子屋さんのティーサロンになっている。
ずっと入りたいなと思っていながらも、この道を通るときの満腹度の加減でなかなか機会がなかったのだが、今回ついにこちらに立ち寄ることができた。

もともと美術館だった瀟洒な洋館を改装したのが、この歐林洞の鎌倉本店。
建物の優雅な雰囲気も去ることながら、紅茶と洋菓子が美味しいと評判のお店でもあり、今回はこちらでダージリンティーとパウンドケーキを頂いた。
4種類の味のパウンドケーキはしっとりふっくらとてもおいしく、紅茶にぴったり。
また、紅茶も蒸らし加減をしっかりと測ってくれているようで、味がとてもよかった。
これは是非また来ようと思う。本当に美味しいアフタヌーンティーだった。
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鶴岡八幡宮を出て、若宮大路を歩いていると、「あら?」と思う光景に出会った。
これは、桜・・・?
たった今、梅を見てきたばかりなのだが、こちらはこちらで数本だけ桜のようなものが咲いていた。
通りを行く人も、「こんな時期に桜が咲いてる」と驚きながら写真を撮っていく。
河津桜や緋寒桜のように早い時期に咲く種類でもなさそうで、どちらかと言うとソメイヨシノに見える。
でもソメイヨシノにしては、時期が早すぎるよね、とその場にいる人達も皆困惑顔。

結局、ソメイヨシノが時期違いに咲いているものなのか、はたまた全く別の種類の桜なのか、そもそも桜ですらないのか。
答えは分からないまま、その場を離れた。
答えがわからなくても、綺麗なものは綺麗だし、ふわりふわりと咲くピンクの花を見ていると、嬉しいものは嬉しい。
春とはきっとそう言うものなのだと思う。

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by norlie | 2015-03-08 18:44 | ぷらっと鎌倉・湘南