おと な り
この夏、大好きな映画がまた一つ増えた。
「おと な り」。
学生時代の友人から勧められて観たのだけれど、観始めてすぐにわかった。
大好きな空気を纏った映画。
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恋愛映画だけれど、二人の共演シーンはほとんどない。
30歳という、人生の岐路に立つ二人の主人公は、映画の時間のほとんどを、仕事や、人間関係や、夢に思い悩みながら過ごす。
恋愛の気配なんてほとんどない。
だけどそこには、常にお互いに寄り添う「音」がある。

"初めて好きになったのは、あなたが生きている音でした"

主人公の一人・聡を演じるのは、岡田准一さん。
静かな佇まいと、強い存在感。俯きがちな、でも、まっすぐな視線が素敵で、その雰囲気は聡にぴったりだなあと思った。
聡はカメラマン。親友との友情と、風景写真家という夢の狭間で、揺れ動く。

ヒロイン・七緒を演じるのは、私も大好きな女優の麻生久美子さん。
フラワーデザイナーを目指し、花屋でアルバイトをしながら、フランス留学に向けてフランス語を学ぶ毎日。
彼女を取り巻く人間関係に、もう一人の主人公・聡はいない。

そんな、お互い異なる人生を歩む二人は、実は気付かない場所で接点を持っている。
マンションの隣同士の二人は、すれ違いながらも、お互いの生活音で、繋がっている。

二人が出会うのは、物語の最後。
だから、この映画は、恋愛映画というよりも、"恋が始まるまで"を描いた映画だと思う。
二人が恋人同志になるのは、エンドロールでの話。

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「おと な り」というタイトルは、「音」「大人になる」「お隣」という3つの意味を持っているんだそう。
麻生久美子に似ている、会社の素敵な先輩が、映画を見た後に教えてくれた。
それを聞いて、またこの映画が好きになった。

一番好きなシーンは、七緒の涙声のフランス語を聞いた聡が、壁に寄り掛かって、歌を歌うシーン。
七緒がいつもベランダで口ずさむ"風を集めて"というその歌を、静かに歌い始める。
お互い、相手がどんな人かは知らない。
だけど二人の音は、確かに背中あわせに寄り添っていて。
一人なはずなのに、独りじゃない。
その優しい必然に、じんわりと涙を浮かべてしまった。



DVDになる前に、もう一度観にいきたいなあ。
今年は、他にも「南極料理人」「女の子ものがたり」「プール」など、観たい映画がたくさん。
楽しみです。

素敵な映画。出会えてよかった。
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by norlie | 2009-08-15 22:52 | Movie / TV
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