沼地のある森を抜けて@青森・蔦沼
シルバーウィークは思わぬ長い休暇をとることができたので、今年3度目の実家帰省。
週の中頃、また少し風邪をぶり返してしまったけれど、週の最後には回復したので、十和田、八甲田周辺をドライブしてきた。 青森の温泉地として、酸ケ湯温泉と並んで有名な"蔦温泉"。 その蔦温泉の周りには6つの沼と、それらを囲むブナの原生林がある。 涼しくて清浄な森の空気を吸いながら、少し湿った土を踏みしめつつ。 約2時間にわたる、森の散歩。 森の中は本当に静かで、人口の音は何一つ聴こえてこない。 川のせせらぎ。 野鳥の鳴く声。 木の実の落ちる音。 森の中は静かだと思ってたけれど、こんなに"音"に溢れてたんだなあ。 木々の向こうに、沼が見えた。 水面に浮かぶ葉は微動だにしないのに、沼の水は細い小川に流れ込んでいて。 それは、沼のずっとずっと奥深くで、水が小川に注ぎ込んでいるということ。 確かに沼が活きてるんだとわかる。 静かな森に、沼が息づいている。 きっとたぶん、ずっとずっと昔から。 沼地のある森だけあって、湿地に近い土壌を持つこの森には、きのこがたくさん。 遊歩道を歩いていると、歩道でもない場所からきのこ狩りの人が、にょきっと出てくる。 「こんにちは」と挨拶を交わして、すれ違う。 きのことは意外とグロテスク。 中には、20メートル近い木の上に、大きな皿のようなきのこが連なって生えてたりして、背筋が凍った…。 かと思えば、こんなふうに、白くて綺麗なきのこもにょきっと生えていたり。 とても綺麗だけど、やっぱり毒キノコなのかな。 やっぱり、綺麗なだけに。 沼地のある森を抜けて、突然開けた場所に辿り着く。"蔦沼"です。 深い紺碧の部分と、鏡のように木々を移す部分。 この日は平日だったこともあり、この場所にいたのは私達と、写真家さん一人だけ。 時が止まったような静けさと、吸い込まれるような碧色の沼。 いつまでもここにいたいなあとぼんやりしていたら、現実に呼び戻すように、沼の魚が水面を波立てた。 "沼地のある森を抜けて"。 梨木香歩さんの小説のように、そこは深く、静かで、根源的な場所。 帰ってきた今も、あの沼地は自分の中にあるように感じます。
by norlie
| 2009-09-27 15:23
| ぷらっと青森
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