風邪と捻挫と病気と、そして旅。
6月初め、ひどい風邪を引いた。
そして、偶然受けたエコーと血液検査で、病気が見つかった。 この病気とは全く関係ないのだが、7月初めに左足を捻挫した。 痛くて、びっこを引いて歩く毎日。 身体も不調。足も痛い。気分も滅入った。 へこんだり、悩んだり、開き直ってはまた落ち込んだり。 色々な浮き沈みを繰り返しながら、毎日が過ぎた。 MRI検査や諸々の精密検査を受けた。大きな病院で、なかなかすぐに事が運ばないのには慣れている。 捻挫をしてから数週間が過ぎた。 それでもまだ足は痛いままで、相変わらず歩きづらい。 こういう病気や手術というのは自分にとっては初めてのことだったので、なんというか、初めはどんどん不安になった。 悪いほうへ悪いほうへ考えてしまって、気づくとその病気に関する情報を携帯やらインターネットやらで必死に集める始末。 するとなぜだかどんどん悪い内容ばかりが引っかかっていって、どんどん心が沈んでいった。 そんなことはおかまいなしに、毎日会社へ行っては山積みされた仕事やミーティングの時間が、逆に救いだった。仕事に集中していれば、病気のことは考えなくて済む。時間もあっという間に過ぎて行く。 7月末。まだ足が痛い。 捻挫って、二週間で治ると思っていたよ・・・。 8月初め、諸々の最終結果が出た。 手術をするのにもリスクがあり、しないのにもリスクがあるとお医者様は言う。 幸い、今のところ生死が関わるような最悪の事態ではないだろうということがわかってきた。 だが、お医者様によると、私の年齢では部分切除の手術をしても高確率で再発するとのこと。何度も手術を繰り返すことになるだろうとのことだった。 全摘出すれば、この病気自体は改善するが、この年齢でその選択をした場合、他のデメリットもたくさんあるのだそう。 一方で、このままの状態が続けば、低確率だが激痛を伴う腹膜炎を起こす可能性もあるらしい。 結局いろいろな可能性を考慮した結果、しばらく投薬治療を受けることになった。いわゆる保存療法というものだ。 色々な副作用が報告されている薬なので不安もあるが、完治はしないものの、この薬で改善される可能性があるらしい。この薬で改善されれば、手術は悪性化のリスクが上がる40代になってから。この薬で駄目なら、近いうちに手術しましょうとのこと。 この薬で改善するようであれば、少なくとも十年近くはこの薬を飲み続ける事になる。運が悪ければ副作用とも付き合わねばならない。 改善しなければ、手術になる。何度か受ける事になる。 うーん、なんというか、負の選択。 現在、自分にはほとんど症状がないため、「放っておいたらだめですか?」と聞いてみた。 お医者様はもちろん、「駄目です、悪化しますよ」という。 だって、今が一番元気なんです。ベストなんです、私。 そう思ったところではたと気づいた。そうか、年を重ねて、ベストな時期は過ぎ去ったということか。 諦めて、薬を飲み始めて6日目。 やはり副作用で目眩と頭痛が出てきた。幸いまだ他の副作用は出ていない。 目眩と頭痛も比較的軽いような気がする。 このまま病気が悪化するかもしれない。 副作用はどんどんひどくなるかもしれない。 やりたいこともできなくなるかもしれない。 行きたい場所にも行けないかもしれない。 毎日、つらい思いや苦しい思いに苛まれるかもしれない。 かもしれない、かもしれない・・・と念仏のように唱えながら、ふと我に返った。 いやいや、私まだ症状がないわけですよ。副作用だってまだ軽い訳ですよ。 まだ起こっていないこと、起こると決まった訳でない事を憂えるのは自分の悪い癖だ。 世の中には、運次第な事、時間しか解決できない事がある。 そういうものは、運と時間に任せておくことにしよう。 治療には、希望もあればリスクもある。 それは生きていればいつだって隣り合わせにあるものでもある。 自己管理をきちんとして、落ち着いて向き合っていければいいと思うようになった。 何もかも今まで通りにはいかなくても、何もかもを諦めることはない。心配しすぎる必要もない。 少し欠陥を抱えながらも、身体は頑張ってくれていると思う。症状はずっと軽いほうなのだから。 そう思ったら、心が軽くなった。 週末、久しぶりにどこかへ行こうかなと思って天気予報を見たら、兼ねてから行きたいと思っていた上高地に、抜群の晴れマークがついていた。 よし、上高地に行こう。 服は1日分。簡単な日焼け止めと薬とカメラを鞄に入れる。スニーカーを履いて、時刻表を印刷する。 ホテルは行きの電車の中で、携帯電話でとればいい。 そうしてこの週末、旅に出た。行き先は松本、そして上高地。 お腹の中に病を抱えて、それでも身体はまだまだ楽しんで来なよと言っている・・・気がする。 気がつくと、足の痛みが消えていた。 病気の事ばかり考えていて気づかなかった。捻挫が治ってきたのだ。 捻るとまだ痛いけれど、確実に痛みは引いていて、普通に歩けるようになっている。 心が軽くなって、足が治ったのか。 足が治ったから、心が前向きになったのか。 どちらが卵でどちらが鶏かは分からないけれど、そんなふうにして悶々とした2ヶ月は急に終わった。 家族や身近な友人には話したけれど、これを見ている友人を心配させないように、そして、もし同じ病気にかかっている人がいたら、少しでも勇気づけられるように、病名を記載します。 子宮内膜症性の多房性嚢胞性腫瘤、俗にいうチョコレート嚢腫というものです。 大きさは4.5cm × 3.5cmで、手術基準となる5cmには達していません。 最初のエコー検査時は6cmの疑いがあり、血液検査のCA-125が300近くを示したのですが、1ヶ月後にはこのマーカーの値は正常値に戻り、2ヶ月後のMRI検査で4.5cmである事が確定しました。 現在は、ルナベルという薬で治療中です。 6日目現在、軽い頭痛と目眩はありますが、それ以外の自覚症状は特にありません。
by norlie
| 2012-08-06 00:12
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