ここは信州、城のまち@長野・松本
上高地からバスで松本へ戻って、まず最初に向かったのは松本城。

実は私は、城という類いの物をあまり見たことがない。
国内の名城と言えば、姫路、名古屋、熊本、そしてこの松本などがあると思うが、私が見たことがあるのは小田原城と弘前城。天守閣だけの小さな建物だ。
だから、松本へ行く前に松本城の写真を見たときは、少なからず期待した。
なんだか大きそう。綺麗そう・・・。

そして、いざ現地で目にすると・・・。

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かっこいい〜!!
結構な期待感だったにも関わらず、それ以上の大きさ、美しさ、かっこよさ。
なんと、城ってこんなにかっこよかったのか!
お堀が映す城と空の美しいこと。

私は日本史、ましてや城などにはあまり詳しくなく、友人に趣味=日本の城巡りという子がいるのだけれど、「意外と渋い趣味だね」と、少し冷ややかな目でいつも見つめておりました。(ごめんね)
でも、こうやって見ると、なんて綺麗で迫力があるんだろう。
フランスの城のような絢爛豪華な華やかさや繊細さではない。
イタリアの中世の動乱を生き延びてきた埃っぽさ、重厚さを感じさせるようなものとも違う。
なんというかとても実直で、慎ましやかで、地に足が着いている感じがする。

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松本城公園の日陰のベンチに座って、真正面に松本城を捉える。

ランドマークがある街が好きだ。
これを見れば、ああどこそこだとわかる場所。それを見れば、ああ帰ってきたと実感できるもの。
そして時には方角を知る手がかりになるもの。
横浜であればランドマークタワーが私にとってのそれだ。東京なら東京タワー、最近だとスカイツリー。
街のシンボルでもあり、街を守る存在でもあるもの。
自分がそれを見上げるとき、いつだってどこかで誰かが同じようにそれを見上げているもの。

そういう物がある街は、いつのまにか心がそれに寄り添っている。
そしてそのランドマークもまた、街に寄り添っている。

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長野と言えば蕎麦。
私は、蕎麦よりどちらかというとうどんが好きだと思っているのだけれど、それがふと揺らぎそうになるときがある。
一つは神田の藪蕎麦で食すとき。そしてもう一つは、ここ長野の蕎麦を食べるとき。
細めの麺が汁に良く絡む。細いのに、噛むと蕎麦の風味がじんわり口の中に広がってとても美味しい。
そして、最後はそば湯。啜った後、口からほっこり出てくる湯気は、じわり温か。喉を通った熱いそば湯が、とろりとしながら喉からお腹へ伝っていって、身体の中から優しい熱が沸く。

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松本城から中町通りのほうへゆっくりと散歩する。
懐かしい、下町風情溢れる縄手通りを通って歩く。祭りの準備で皆どこか浮き足立っているのがわかる。

途中、四柱神社では、子供達が集まって鬼ごっこのようなことをしていた。
なんて平和な、昭和の風景。神社で鬼ごっこなんて、子供の頃は憧れだったよ。(私の家の近くにはそういう場所がなくて、いつも野原や公園だった)

今日は、松本ぼんぼんのお祭り。街中に、ピンク色の提灯が点してあって、なんだか良いときに来たなあと思うことしきり。

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縄手通りを抜けて、風情溢れる蔵通り、中町へ。
ここへ来て、私はなぜかとても自分が蔵に惹かれていることに気づく。
そういえば子供の頃から、蔵という物に憧れていた。うちにはもちろんなかったが、近所の友人の家にあった蔵は、どこか内を見せない秘密めいた魅力があった。
色々な物が雑多に詰め込まれている蔵。窓が少なく、中は真っ暗で、重厚な扉を開けるとそこには異世界が広がる。
信じられないくらいずっと昔の遺産が眠っているのではないか?(それすなわちタイムスリップ!)
どこか異界へ繋がる道があるのではないか?(それすなわちファンタジー!)
・・・といったような妄想をいくらでも膨らますことができる蔵。

誰かにとってとるに足らない何か、他の誰かにとっては宝物のように大切な何かがある(かもしれない)、不思議な場所。
蔵に潜むものはいつだって私を魅了し続けている。

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中町通りを歩いているとき、なんだかとても涼しげな心安らぐ気配に誘われて、一つのカフェにふらりと入った。蔵シック館という喫茶店だ。
高い天井が、ここが蔵の中であることを教えてくれる。
焦げ茶色の艶のある家具調度が、シックでとても落ち着く。自然と、ふうーと深い息が出る。

あら、これはいいんじゃない?
旅の終わりの場所にぴったり。弾丸トラベラーのように始まったこの旅の1ページ1ページを振り返るのに、この静けさと涼やかさはぴったりだ。

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普段まず頼むことのないアイスコーヒーが、なんだか今は無性に飲みたい。
カランという氷の音と、濃い透き通ったコーヒーの水色。煙るような豆の香りと、身体をひんやりさせてくれる抜けるような苦み。
たまには普段飲まないものを飲むのもまた旅の醍醐味。

初めて訪れた松本、上高地。
たった一日だけれど、それは普段の旅よりもずっと密度が濃いものになった。
それでいて、どの旅よりものんびりと何もしない時間を過ごすことが多かったことにも驚く。
ほとんど寝ずの旅だったが、身体には染み入るような心地よい疲れ。

松本も上高地も、大好きな場所になった。
空の広さ、雄大な山々の稜線、穏やかでのんびりとした空気に、滋味溢れる美味しい食べ物。
またきっと、ここを訪れよう。

喫茶店を出ると、街はすっかり祭り一色になっていた。
駅までの道を歩きながら、いつのまにかすっかり耳に馴染んで、メロディーも歌詞も覚えてしまった祭りの歌。
ぼんぼん、松本ぼんぼんぼん。
どっこいじんじょ、どっこじんじょ。
わーい、わーい。
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by norlie | 2012-08-21 10:03 | ぷらっと甲信越・北陸
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