かき氷を食べにいこう - 埜庵 -
鵠沼海岸にとても美味しいかき氷の店があると、友人に教えてもらったのは昨年の秋のこと。
冬がやってくるこの時期にかき氷もないだろうと、また季節が巡ってくるのを気長に待っていた。 そうして今年の春。 桜が散り、新緑が芽吹き、少しずつ気温が上がってきて、もうそろそろかなと思った週末。 小田急線に乗って鵠沼海岸へ向かった。 海辺の住宅街の一角に、普通の一軒家が一つ。 それがかき氷の店、"埜庵"。 個人宅の玄関のような場所から靴を抜いで2階へ上がると、まるで友達の家に遊びに来たような気分。 バルコニーへ出ると、日除けのパラソルの下に木製のベンチとテーブルが置いてあって、サンダルを履いてそこへ腰を下ろす。 背の低い一軒家が軒を連ねる住宅街。人が住む、その音が聞こえてくるバルコニー。 その上を青空がのびやかに広がる。 やがてカラカラと引き戸を開けてやってきた店員さんが目の前に差し出したのは、真っ赤なルビーのような大きなかき氷だった。 赤いシロップはストロベリー。 それもよくある人工甘味料のピンクのシロップではなく、甘酸っぱい苺そのもの。 真っ白い氷は見たこともないようなきめの細かさで、ガラスの器に零れんばかりの量がのっている。 小さなスプーンで一口掬うと、サクサクと軽い音がする。 赤いジュレのかかった氷を口へ運ぶと、甘酸っぱさと苺の香りが口いっぱいに広がった。 苺のシロップというより、苺そのものの味。 ふわふわした繊細な氷は、キーンとするような冷たさではなくて心地よい。 ああ、これは美味しいなあ。 優しい冷たさと、果物そのものを食べているようなシロップがとても贅沢。 バルコニーから少し下をのぞくと、こんな住宅街の一角へどんどん人がやってくるのが見えた。 皆この店へ向かっているのだとわかる。 まだ春だというのにこのお客さんの量なら、オンシーズンには連日ものすごい行列になるというのもわかる気がする。 それでも、また夏が来たらここへ食べにきたいなあと思った。 蒸し暑い夏、蝉の声を聴きながら食べた日には、きっと美味しさも倍増に違いない。 かき氷を心ゆくまで味わった後は、海辺の明るい商店街を通って片瀬江ノ島へ。 途中、以前から行ってみたかった中欧・北欧雑貨のお店"Figue"へ寄って、アーモンドの香りのマルセイユ石鹸と北欧の馬のマスコットを買う。 白い馬のマスコットはラッキーチャームなのだそう。故郷から持ってきて鍵につけている日本のラッキーチャーム、赤い八幡馬とちょうど同じサイズ。 並べるととても似合うような気がした。 店員さんも雑貨のことを色々と教えてくれて、とても居心地のいいアットホームな雰囲気のお店。 ヨーロッパへ定期的に買い付けに行かれているようなので、是非また来てみようと思う。 暖かな日差しのもと、風を感じながらそぞろ歩く海辺の散歩。 小さなお店をのぞきながら、気ままに歩くのはこんなに楽しかったのかと思い出した、春の一日だった。
by norlie
| 2013-05-31 23:20
| ぷらっと鎌倉・湘南
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