父と歩く三渓園
先日、父が八戸から上京してきてくれた。
父がこちらへ来るのはとても珍しい。
たまには遊びにおいでよと常日頃から言ってはいるのだけれど、やはり青森から東京へ来るとなると、それ相応の決意(=休み+お金+体力)がいるらしく、ここ4、5年、両親がこちらへ来る機会はほぼなかった。(唯一、ぎっくり腰になった私を見舞いに、母が来てくれたときを除いて)

それが今年、珍しく気分が乗ったらしく、こちらへ遊びにきてくれた。
父を連れて行くのにはどこがいいだろうと考えた末、三渓園にしようと決めた。
うちからバスで行けるし、4月後半から5月にかけて新緑がとても美しい。日差しがぽかぽかして、歩くのに丁度いいだろう。
この時期、青森ではやっと桜が咲くかどうかという季節で、まだまだ肌寒い日が続く。
そういう場所から来て、新緑を先取りするのもいいんじゃないだろうかと思ったのだった。

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本牧にある三渓園は、横浜には珍しい純和風の庭園。
敷地面積もかなり広く、園内は内苑と外苑に分かれており、色とりどりの花々と重要文化財に指定された多数の建築物が並ぶ。
北東北にはこういった日本庭園はほとんどないので、父の目にも興味深く映ったようで、入園してすぐに父はここを気に入ってくれたようだった。

外苑の中央にある大池の外周にそってぐるりと歩いて行く。
大池にはいつもどおり亀たちがいて、暖かな春の日差しの下、皆そろって甲羅干ししているようだった。
そんな亀達を可愛い可愛いと愛でながら、内苑のほうへ歩いて行く。

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内苑の新緑の美しさはまた一入。
山に面しているため木々が多く、春もみじの黄緑色が日に透けて爽やかだ。
臨春閣の中に木漏れ日が降り注いで、畳の和室がとても気持ち良さそうだった。

月華殿、天授院が1600年代の江戸時代の建築物を京都から移築したものだという説明を読んで二人で感嘆したり、三渓園のガイドさんと三人でおしゃべりしたり、気ままにぷらぷら散歩は続く。
お気に入りの竹林の前で写真を撮ったりもした。

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この時期の園内は、新緑の木々を背景に、色とりどりのツツジが美しい。
歩いていると、父がふと「山つつじが咲いてる」と言った。
この朱色のツツジは、花びらが他よりも小ぶりでくしゅくしゅっとしている。葉はまるく、素朴で落ち着いた雰囲気。
そうか、これは山つつじって言うのか。知らなかった。

花の名前を教えてくれるのはいつも父だ。彼岸花に山桜、ツツジとサツキのことも父から教わった。
そういえば鳥の名前もまた、いつも父から教わる。

私の知らない花や鳥の名前をたくさん知っているのは、いつもすごいなあと思う。私もわかるようになりたいので、教わった後はこっそり自分でも調べてメモしている。
父は一体どういう経緯でそういう花や鳥の名前を覚えてきたのだろうと不思議に思う。いつか聞いてみたいものだけれど、どうせ大した答えは返ってこないに違いない。

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たくさん歩いたので、途中で休憩を取った。
少し休もうというので、三渓記念館でお抹茶を頂く。
父は抹茶を飲むのは初めてらしく、飲んでから「思ったより味がしない」とぼやいていた。
「そりゃいつも飲んでる甘いコーヒーやココアみたいな味はしないでしょうよ」と相槌を打ちながらも、「この歳になっても初めてのことを経験できるもんだなあ」と感慨深そうに言う父に頬が緩んだ。

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父と歩く三渓園。
いつもと違う横浜散歩は思い出に残る楽しい時間になった。
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by norlie | 2013-06-08 08:07 | 横浜暮らし
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