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緑降る渓流へ - 奥入瀬渓流 -
緑のカーテンがゆらゆらと揺れて、雪解け水が飛沫を上げる。
日の光を浴びて、透き通る新緑に包まれるのは夏の始まりのこの時期だけ。

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奥入瀬渓流を全て歩くには4〜5時間を要する。
今回は2回に分けて歩くことにした。
ざっくり中間地点くらいにあたる岩菅の滝のあたりを境に、子の口へ向かって銚子大滝まで行く第1ルート。
そして、逆に岩菅の滝あたりから焼山へ向かって、石ヶ戸まで歩く第2ルート・・・と自分流に定義。

岩菅の滝を過ぎたところで車を降り、渓流沿いの散策路へ入る。
そこからしばらくは滝が出てこないので、渓流の涼やかさや散策路の植物を愛でながら、ただ緑の道を楽しんだ。

苔やシダ植物など、日陰に育つ原生的な自然美を味わえる奥入瀬渓流。
途中、リュックを背負った若い男性が度々立ち止まって植物や木々を観察しているのを見かけた。
立ち止まって観察しているのを追い越すと、しばらくしてまた追い越され、先を行ったかと思えばまた立ち止まって観察している。
何かそういった類いのことを研究している大学生だろうかと思いながら、追い越し追い抜かれを繰り返す。

玉簾の滝まで来て、「こんにちは」と声をかけた。
「何を見ているんですか?」と尋ねてみると、「植物ときのこを・・・」との答え。
「大学かなにかで研究されているとか?」
「いえいえ、大学生だなんてとんでもない。自分、もういい年なんで。見るのが好きで」
そうか、趣味だったのか。よく見ると私くらいの年齢だろうか。

好きだから見る。それをしたいから、リュックを背負って奥入瀬渓流まで来る。そして闊歩する。
なんかいいなあと思った。きのことか植物とか、そういうのが好きな同年代もいるんだなあ。
なんだかお年寄りっぽい趣味だけど、そういうのを気にせず、ただやりたいことをやっている、その姿勢がいいなと思った。

なんとなく仲間意識を感じながら、「じゃあ、この先も楽しんで!」と言ってまた追い抜いた。

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奥入瀬渓流のいわゆる"後半"にあたるこのゾーンでは次から次へと滝が登場する。
白糸の滝、不老の滝、かと思えば対岸に双白髪の滝、姉妹の滝。(白糸の滝の手前にある白絹の滝は木々が生茂って見えない)
そうして、この後半のハイライトにあたるのが、終盤で登場する二つの滝。
九段の滝と、銚子大滝だ。

九段の滝は、段々に分かれた岩の上を、水が伝うように流れ落ちる優美な滝。
少し質素なところが、なんとなく禅とか茶道に通ずる実直さを感じる。
大人の魅力を兼ね備えた滝だと思う。
すぐ近くまで行けるので、まじまじと眺めることができる。

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そして、九段の滝を越えると辿り着くのが銚子大滝。
ごうごうと滝の音が遠くから聴こえてくれば、「あ、ゴールだ」といつも思い、足取りがぐっと軽くなる。
ハイライトに相応しい、迫力のある流れと水飛沫。近くに立つととても涼しい。

そうして銚子大滝からは車に乗って、十和田湖へ向かう。
第2ルートを歩くのは、十和田湖を楽しんだ後の帰り道。
まずは、光り輝く初夏の十和田湖へ。
by norlie | 2013-07-15 13:45 | ぷらっと青森
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