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雨の日の読書
このところ雨が多い。
夏のゲリラ豪雨みたいな雨ではなく、しとしとと降る秋らしい雨。
季節が移り変わったのだなと感じる。

日頃から自分の部屋が大好きなのだが、中でもこんなふうに一日中雨が降り続く日は、その幸せも格別だ。

外は冷たい雨。
でも家の中にいれば濡れることも、寒さに震えることもなく、心地いいソファの上で好きなだけごろごろできる。
部屋を見渡せば、どのコーナーにも心惹かれるものが設えてある。
冷蔵庫には、満足のいく食事を作れるだけの食材があるし、棚の中には私の大好きな茶葉ばかりが並んでいる。
今日はここで好きなだけ映画を観たり、本を読んだり、料理をしたり、編み物をしたりできる。
雨のおかげで外は静かで、この部屋は、世界で一番贅沢なお城になる。

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今日は、雨の日の読書をした。

実を言うと、その前に映画も一本見た。
『ドライビング Miss デイジー』という、もう何度観たかわからない、大好きな映画。
アメリカ南東部の柔らかな光と、冷たくて美味しそうなアイスティーと、二人の老人の友情にすっかり心が絆された後で、読みたかった本を開いた。

江國香織さんの『やわらかなレタス』。
彼女の文章は、とても繊細で浮遊感がある。
この感じをうまくいい表せる言葉にいつも悩むのだけれど、英語ならとてもぴったりの言葉を既に見つけていて、"graceful and airy sensibility"というと、「うん、そうそう、そういう感じ」と自分でしっくりくる。

彼女の本は、たまに読みたくなる。それはたいてい秋か冬。
どっぷり浸かると麻薬のような効果をもたらすときがあるので、最近、彼女の長編はあまり読まない。
カフェに入るみたいに、少しの時間、さらりと読むのがいい。それでエッセイを好むようになった。

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"3191 Miles Apart"の"A Year of Mornings"は、昨年買って以来、気がつくと手に取ってしまうくらいに大好きな写真集。
メーン州在住とオレゴン州在住の、アメリカ東西に離れて暮らす(その距離3,191マイル!)2人の女性が、毎朝の風景を写真に撮って送り合った365日分がここに詰まっている。

We are Stephanie and Mav.
We live 3191 miles apart.
We like to get up early.

生活感のある写真に、異なる場所で生きる二人の息づかいと暮らしぶりが感じられる。
そこに垣間見える二人とその家族の毎日は、とても洗練されていて、同時に明るく温かい。
とるに足らない毎日も、こんなふうに写真に収めると、物語の1ページのようにわくわくするところが好き。

彼女達の往復書簡のような文章もとても好きだったので、この写真集に文章が載っていないのだけ、ちょっと物足りない。
でも、彼女達のWebサイト、"3191 Miles Apart"では、今も毎週1回、お互いの写真と文章が更新されているので、文章はそちらで楽しむことにしている。

さて、内田彩仍さんの『12か月のこと』の9月、10月の章も読んで、そろそろ秋の支度を始めなくてはと思った。
読書はここまでにして、クローゼットに向かって、来る秋冬を思いながら、洋服を整理したいと思う。
by norlie | 2013-10-06 14:46 | Books
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