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康楽館と劇団岬一家@秋田・小坂町
田子から十和田湖へ向かい、そのまま秋田へ抜けると小坂町へ着く。
秋田県北東部に位置し、青森とともに十和田湖の半分を擁する小坂町は小さいながらもたくさんの名所を持つ町。
その中でもこの町きっての名所、それは芝居小屋・康楽館。

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町の一角、カラフルな幟が賑やかに立ち並ぶ通りが康楽館の通り。
小坂鉱山事務所の隣に、明治から続く洋風建築の芝居小屋がある。
ここでは、雪深くなる冬を除く春から秋にかけて、常打ち芝居が行われており、1日1〜2回の公演を観劇することができる。

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実は数年前に小坂町を訪れた際、体調の悪さがピークに達して、康楽館まで見ずに帰宅の途についた。
しかも、体調の悪さで、見学した小坂鉱山事務所の写真もほとんど撮れず、是非また小坂町へ来たいと思っていたのが、この5月に叶うこととなった。
喜ばしい限り。

康楽館の芝居は、全国各地で活躍する大衆演劇劇団『下町かぶき組』が行っており、私が訪れた5月はこの劇団に所属する劇団岬一家が公演を行っていた。

正直、私はミュージカルは好きなのだけれど、歌舞伎や能など日本の伝統芸能には苦手意識がある。
中学の時、能を観に行ったことがあるのだが、ほぼ爆睡した。歌舞伎も音楽や話し方がゆったりしていて、猛烈な睡魔に教われる印象がある。
今回観劇したのも、どちらかというと康楽館そのものを見たい気持ちのほうが大きく、あとは「せっかく来たのだから」という気持ちからだった。

ところが、いざ観劇してみると、それは眠くなるどころか、ずっと笑顔でいられるくらいに笑いあり涙ありで、本当に面白い芝居だった。

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康楽館の公演は2部構成で、1部が人情芝居、2部が舞踏ショーとなっている。
幕間に観客参加型のちょっとしたコーナーが設けられていて、役者さん達を身近に感じられたのもとても良かった。

私が気に入ったのは1部の人情芝居。
1部は撮影禁止なので写真はないが(上は2部)、その面白さと魅力はしっかりと心に残った。
この日の人情芝居は義理人情に厚い、江戸っ子魚屋の『一心太助』。
大衆演劇とあるだけあって、会話のテンポがよく、江戸っ子の快活さがとても伝わった。
主演の岬寛太さんが一心太助と徳川家光をひとり二役で交互に演じられるのだが、衣装替えが大変なので、息を切らしてみたり、「ちょっと暑いな〜」と言ってみたり、お腹を抱えて笑えるシーンがたくさんあって、終始場内は笑いでいっぱい。
私のような歌舞伎をよく知らない人にも馴染みやすく、共感しやすい会話に、すっかり魅了されてしまった。

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2部は舞踏ショー。
1部で出てきた俳優さんにさらに人数が加わり、女形の踊りや舞などのショーを観劇できる。
伝統を受け継ぎながらも、少し現代風にアレンジされていて、馴染みやすい。

私が気に入ったのは、1部の『一心太助』で、一心太助の女房を演じていた成田美ゆりさん。
とても美しい方で、綺麗な声をされていて、劇中では快活でしっかり者の女房役を演じられていたのだけれど、それがまた全然嫌味がなくて、艶っぽいけれど可愛らしくて、とてもチャーミングだった。
舞踏ショーでも、この成田美ゆりさんと松本美和さんという女優さんの踊りがとても優美で、いいなあとうっとり。

公演後は、康楽館の出口で、俳優さん達がずらりと並んで観客を見送ってくれた。
岬寛太さんは握手もしてくださって、私はなぜだか暴れん坊将軍の徳川吉宗公あたりに握手されているような、ちょっと恐れ多くも嬉しい気分。
成田美ゆりさんもいらっしゃって、間近で拝見するとますます美しい方だったのだけれど、シャイなので握手してもらいにいけず・・・。

劇団岬一家の舞台の面白さ、馴染みやすい会話とユーモア、それに俳優さんや舞台との距離が近い親しみやすさも合わせて、とても好きになった。
全国各地で公演されているとのことで、また機会があったら是非観に行きたいと思います。
by norlie | 2014-05-31 14:28 | ぷらっと秋田
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