みちのく潮風トレイル4(八戸区間) 鮫角〜小舟渡〜蕪島
葦毛崎を出ると、時刻は16時近くになり、東側の海岸線であるこのあたりは少し日が陰ってきた。 散策マップを見ると、この先、鮫角までは歩道(マップの赤い線)と車道(マップの青い線)が一緒になっているので、車道を歩くのだと分かる。 てくてく車道を歩いていく。 歩道と言っても、30cmあるかないかと言った感じで、車とすれ違うと少し怖い。 もちろん車も避けてくれるが、運転する側も怖いだろうにと少し申し訳ない気持ちになった。 鮫角へ到着。 内陸側に鮫角灯台が見える。 知らなかったが、この鮫角灯台は日本の灯台50選の一つとのこと。 それにしても"日本の渚百選"とか"日本の灯台50選"とか、色々な選出があるんだなあと思った。 旅先として参考になるのでとてもありがたいが、いつだれが決めているんだろうと思うとちょっと面白い。 ちなみに、"日本の渚百選"は大日本水産会などで構成された選定委員会が1996年が決めたものなのだそう。 そして、"日本の灯台50選"は、1998年に海上保安庁による一般募集で選ばれたものなのだそうだ。 散策マップを見ると、鮫角からは再び遊歩道(赤い線)が車道(青い線)から大きく分かれて、海側を歩くように示している。 地図を見る限り、『小舟渡』の前を通っているように見えるが、はてこんなところに道なんてあったっけ? とりあえず、鮫角から獣道のような道を進んでいく。 かなり草ボーボーだが、かろうじて道だとわかるような雰囲気。 しかし、進めば進むほどどんどん藪の中に突入していくので不安になる。 予感的中・・・。行き止まりになった。 どう見ても道らしきものは見えない。 秋のすすきだけが野っ原にさわさわと揺れていた。 眼下に『小舟渡』の建物が見えるので近くまでは来ているのだが、10メートルくらいはありそうな急斜面になっていて、しかも薮だらけ。 無理に進んで転げ落ちても一大事なので、やむなくもと来た道を引き返すことに。 結局、鮫角まで戻って、車道を行くことにした。 このあたりは車でよく通るので車道なら不安はないが、逆に歩道が狭いので行き交う車に再び肩身の狭い思いを味わう。 そんなこんなでやがて小舟渡へ到着。 小舟渡というのはこのあたりの地名なのだが、最近はここにある食事処『小舟渡』さんのほうが有名になっているように思う。 岩礁の上に立つ木造の建物が、海席料理処『小舟渡』 全国区の雑誌でも時折見かけることがある。 一見、古い木造小屋なのだが、中はとても綺麗に設えられているお店。 『小舟渡』さんに来たからには是非大好きな磯ラーメンを食べたくなったが、時刻は夕方。 先程ソフトクリームを食べたばかりで、あまりお腹も空いていない。 そして、ここで磯ラーメンを食べた日には、蕪島神社に着くのは確実に日が落ちてからになってしまう。 という訳で、愛しの磯ラーメンは渋々またの機会に。 この日は立ち寄らなかったが、『小舟渡』さんの磯ラーメンは絶品。 前回、5月の帰省でもここへ食べに来た。 透き通ったスープに磯の出汁がしっかりと効いていて、数種類の貝や海藻、海老やウニなどが贅沢に入っている。 特にこの辺り一帯で"シュウリ貝"と呼ばれている、天然の大きなムール貝も入っていて、それがまたとても美味しい。 岩礁の上というすばらしい立地なので、ガラス張りの店内からの眺望もよく、遠くから観光で来た方にも是非お勧めしたい場所。 さて、散策マップを見ると、どう見ても遊歩道は小舟渡の先から恵比須浜漁港を通り、水産科学館マリエントの前に出ているように見える・・・のだが、それらしい道が全くない。 どう見ても道が見つからず、看板もないので、またしても車道を歩くことに。 よく訪れるレストラン『うみ音』の前を通り、結局、いつも車で通っているルートでマリエントまで出た。 後から調べたところ、私が向かっている方向とは逆のルートで来た場合、「マリエント前の歩道を通って恵比須浜漁港を通りまして、海岸沿いに釣り人が歩いたような踏み分け道がありますので、その道をそのまま、県道の下の部分ですけれども、ずっと葦毛崎展望台方面に進んでまいります」と、八戸市の観光課長もおっしゃっているご様子。 とはいえ、後から地元の親戚や家族、友人達にも言われたが、「恵比須浜漁港から小舟渡のところに行く遊歩道なんてないでしょ。車道しかないんじゃない?」と、地元の人の認識もかなり低い。 "釣り人が歩いたような踏み分け道"とはどんな道なのか。それは道なのか。わからーん。 できれば、次回来る頃には、もう少しルートが分かるような看板などがあると助かるなあと思った。 鮫角からマリエントまでの道はとても分かりづらい。 マリエントから蕪島神社まで歩いて行く途中、たくさんの鳥達を見た。 ウミネコたちに混じって一人(一羽)餌取りに勤しむウミウとか。 ウミウは江の島でもよく見かけるが、彼らの潜水能力はすごいと思う。かなり長い時間潜り続けるので見ているととても楽しい。 また、砂浜に、あまり見たことのない鳥が3、4羽いるのが見えた。 一見、セキレイのような大きさと色だが、羽の模様を見るとセキレイではない。 後から図鑑で調べたところ、"トウネン"というシギの仲間だと思われた。 シギと言えば身体が大きいイメージだったが、"トウネン"は小鳥のようにかなり小柄なのだそう。 色から見て冬羽のように見える。秋の渡りの途中なのだろう。 こんな小さな身体で大陸間を移動していく旅鳥の過酷さは想像もつかないけれど、少し憧れる気持ちもある。 と思ったら、トウネンたちの後ろに一羽だけ離れて小鳥が佇んでいた。 こちらはセキレイかな。可愛らしくて大好きな鳥。 ついにゴールの蕪島神社が見えてきた。 夕暮れ時の光が乱反射して、光に包まれるような蕪島神社。 なんだかゴールに相応しい光景。 16時45分、蕪島神社に無事到着し、巫女さんが穏やかな笑顔でスタンプを押してくださった。 これで八戸区間踏破。やったー。 八戸区間のスタンプが全て集まったので、蕪島神社で踏破認定証とピンバッジを頂く。 こういうイベントでもなければ、きっと種差海岸辺りしか歩かなかっただろう。 歩いてみてよかった。 次から次へと素晴らしい景観や動植物が目に飛び込んでくるので、歩くのがとても楽しかった。 また何度でも歩いてみたいと思う道だと、歩かなければきっと分からなかったと思う。 それに、故郷の海辺を踏破できたことは、ものすごい達成感。 改めて八戸の良さが分かって、とても充実した一日でした。
by norlie
| 2014-10-01 23:03
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