田舎館村・田んぼアートを訪ねて
黒石の町を抜けて田舎館村へ向かう。
広い田んぼ畑を通って村役場へ着くと、ここだとすぐに分かった。
近くで見るとどんな絵柄かは分からないが、この区画だけ様々な色の稲穂が実っていたからだ。

村役場の建物の展望台から見えるようになっているとのことで、1階でチケットを購入し、エレベーターで展望台に上がる。
今や、度々全国ネットでも取り上げられ、日本全国から観光客が訪れるようになったけれども、エレベーターや展望台の狭さから考えてそれを想定していたとは到底思えなかった。
この田んぼアートは、田舎館村にとっても想定以上の大成功だったんじゃないだろうか。

e0048530_0123797.jpg

先程、地上にいたときは何の絵柄かよくわからなかったけれど、展望台から見ると綺麗な天女と富士山が姿を現した。
これを稲だけで表現しているなんてやっぱりすごい。
天女様の表情とか、右手に持つお花とか、細かいところまでよく綿密に計算されていて、これを村民だけで植えたというのには驚いてしまう。

遠近法を考慮した図面になっているそうで、上から見たときに自然な角度で見えるように植えられているんだそう。
そこにはコンピュータによる図面処理も大きく貢献しているのだそうだ。
ITと町おこしがこういう形で結びつくのは、すごく興味があるなあと思った。

第2会場は、村役場から車で程近い、道の駅にあるという。
実は、私は第2会場のほうが楽しみだった。

e0048530_0124995.jpg

というのも、今年の第2会場の絵柄は『サザエさん』。
国民に愛される、お茶の間ほっこりアニメを田んぼアートで見られるなんて、思わず笑顔が零れる。
第2会場の図面は横に長く、私のカメラでは全体が収まらない・・・ので、先頭に入るサザエを優先し、波平&マスオは渋々画面外に。
広角レンズが欲しい・・・。

近年、第1会場が芸術的な絵柄で、第2会場が子供向けの絵柄というスタイルで毎年植えられているようで、昨年の第2会場は『ウルトラマン』だったとのこと。
私は『ウルトラマン』より俄然『サザエさん』のほうが好きなので、今年見に来られてよかったなあと思うことしきり。

第2会場で心に残ったのは、展望台から降りる階段に展示されていた、田舎館村のこれまでの田んぼアート史だった。
田舎館村の田んぼアートについて知ったのは、たしか2011年くらいのこと。
そのときにはもう、素人っぽさのない芸術作品になっていたので、初めからそうだったとばかり思っていたら、実は最初に始めた頃は今とは似ても似つかないとてもシンプルな絵柄だった。

こちらのサイトさんに、その展望台で私が見たのと同じ、これまでの田んぼアートの変遷が載っており、見るとわかるのだけれど、1993〜1999年までの7年間は、実にシンプルな岩木山を毎年描いていたとのこと。
2000年に新しい絵柄、それでも今と比べるとずっとシンプルな絵柄にチャレンジし、2001年にはモナリザに挑戦。
それでもこのモナリザは、かなりざっくり簡略化された感じになっていて、ポーズ以外は、「うーん、モナリザ?」って言う感じの仕上がりになっている。
それが、2002年の棟方志功からは、毎年ぐんぐん上達し、今のように大きく緻密な絵柄を描けるまでに至ったのだ。

この変遷は本当に興味深い。
最初の7年、同じ絵柄を繰り返し描いてきた習慣を破って、2000年にして最初に絵柄を変えてみようと言ったのはだれだったのか。
7年越しに、このプロジェクトを再び動かし始めたきっかけはなんだったのか?
2000年の新たな挑戦に始まり、毎年新しい絵柄や難しさにチャレンジして、今に至るまでどんどん上達させたのは、どんな人達の先導によるものだったのか。
プロジェクトを動かした人達やその発想に、ものすご〜く興味が沸いた。

e0048530_0125779.jpg

田んぼアートに使われている稲は何種類もあり、その多さにも驚いた。
第1会場の田んぼに、田んぼアートで使われている稲が順番に植えられていて、看板付きで紹介されている。
黄、黄緑、紫、赤、濃緑・・・と、お米一つとってもこんなにいろいろな種類があるんだなあ。

私は、日頃、普通のお米に紫黒米を混ぜて食べているので、この"紫"の稲が紫黒米かなあと思いながらしみじみ眺める。
私が普段食べているお米は、お前だったのね。

田んぼアートを上から眺めるのもよかったが、こうやって稲穂の傍を散歩するのも楽しい。
道端には、実りの季節を喜ぶように秋桜が咲いていて、可愛らしいなあと思ってしまった。

緑の稲穂には、もうお米が実っているようで、時期に稲刈りの季節がやってくることを予感させる。
重そうに頭を垂れる姿を見ると、"実るほど頭を垂れる稲穂かな"という言葉を思い出す。
本当に徳を積んだ偉い人や人格者、実力のある人ほど、頭を垂れて謙虚に振る舞うもの。
私も、別に徳を積んだとかではないけれども、年を重ねるほどに、謙虚な人間になりたいものだなあと思った。
[PR]
by norlie | 2014-10-15 00:11 | ぷらっと青森
<< 青森ウォーターフロントにて (... 黒石こみせ通り >>