ディズニー最新作『ズートピア』観てきました!
ウォルトディズニー作品の最新作『ズートピア』を観てきました!
一言にするとこの言葉に凝縮されてしまうのですが、とっても面白かった! 終始スクリーンに釘付けになるテンポの良さ、展開の面白さ。 観た後の湧き出るような満足感。 鑑賞後、映画館を出て行く人たちは、大人も子供も、カップルもサラリーマンもみんなにっこり笑顔だったのが印象的でした。 子供向け作品かと思いきや、大人向け作品でもある。 夢と希望のアドベンチャーでもあり、絶妙なクライムサスペンスでもあり、アクションシーンもあり、思わず笑いが漏れるようなコメディシーンもあり。 近年アメリカでも大人気の凹凸コンビを主役に据えた、二人の絆を描くバディものでもある。 ストーリーや設定、台詞回しにテンポの良さ、本当にバランスの良い、素晴らしい作品でした。 "Life's a little bit messy. We all make mistakes. No matter what type of animal you are, change starts with you." 生きるのってなかなか大変。私たちは皆、間違いを犯す。 たとえあなたがどんな種類の動物だったとしても、変化はあなたから始まる。 (『ズートピア』より) あまり物語の核心には触れないようにしながら、ネタバレを少しだけ含む感想を書きます。 心に残ったポイント1:人間社会のメタファー 映画の中の住人たちは、いわゆる"野生動物"たち。 この"野生動物"たちが、現代の私たち人間のような文明社会を営んでいる、それがこの『ズートピア』という作品の世界観です。 犬や猫のように人間の暮らしに溶け込んだ動物ではなく、キリン、カバ、ゾウ、キツネ、ウサギなど、野生で生きている動物たちが描かれるのですが、この描かれている世界は完全に人間の現代社会。 動物たちは服を着て暮らし、子供は学校へ、大人はスーツを着て会社へ行きます。スマホを使いこなし、電車で移動します。 だから、この世界で起きることは、動物界の出来事ではなく、完全に私たち人間社会の出来事。 だけど、動物たちがそれを比喩してくれているので、それほど生々しくはないし、どこかユーモラスで、愛らしい。 少しばかり重いテーマであっても、ポジティブな後味とともにすとんと胸に落ちました。 心に残ったポイント2:ウォルトディズニーが描く、ふわふわ毛並みのこだわりの動物たち オフィシャルトレーラーの紹介映像を見るとわかるのですが、この作品の中では、動物同士の縮尺が正確に対比されています。 動物を擬人化した多くの作品では、動物同士の寸法が一定になってしまうことが多い中、この作品では、ネズミはネズミの大きさで、ゾウはゾウの大きさで、というように、一般的な動物の寸法通りに描かれています。 主人公のジュディはウサギなので、とっても小さい。 せっかく警察官になれても、周りの同僚はカバや水牛、オオカミたち。彼らに比べると、10分の1くらいのサイズもありません。 ジュディの相棒になるニックはアカギツネで、ジュディに比べたら、頭一つ分くらい大きいのですが、それでもやっぱり小さめ。 そういうふうに、動物同士の縮尺を正しく描いているからこそ、動物同士の多様性や彼らが抱く偏見がよりリアルに感じられました。 それからとても良かったのが、キャラクターの耳の動きとふわっふわの毛並み! ジュディやニックの耳がとても感情豊かで、集中していたり元気にしているときはピンと立っていたり、驚いたり心配しているときはしゅんと寝ていたり、本当に愛らしい動きでした。 ジュディはウサギということもあって、遠くの音をキャッチするときにはピンと耳が立ち、リラックスしていたり元気がないときは耳が完全に下向きになったりします。 私もウサギを飼っていたことがあるので、「ああ、うちの子もこんなだったなあ」と思い出してしまいました。 一方、ニックはというと、飄々としているのでわりといつも耳が立っているのですが、驚くと耳が少し後ろになるし、優しい表情や悲しい表情、心配そうな表情をするときは耳がぺたっと寝たりして、言葉以上に耳の動きがとっても感情豊か。 また、動物たちの毛並みが本当にふわふわで、触ったら気持ち良いんだろうなあと思ってしまうような映像美でした! プロデューサーのクラーク・スペンサーもインタビューで言っていたのですが、「64種類の動物たちの毛を1つ1つマイクロスコープで徹底的に研究」し、忠実に再現しているのだとか。 「シロクマの毛は普段は透明だけど日光に当たると白くなるとか、キツネの毛は根元が暗いとか、ヒツジの毛には葉っぱが紛れ込んでいてちょっと汚いとか」と語る通り、本当に見事なのです。 ウォルトディズニーアニメーションスタジオというと『塔の上のラプンツェル』や『アナと雪の女王』、『ベイマックス』など、最近は人間を主役に据えたCG作品が多く、人間以外が主役になる作品はピクサー作品に多いイメージがあったのですが、いやいや、動物といえば、ミッキーやドナルド然り、ダンボやバンビ然り、昔からのディズニーアニメの十八番だったじゃないかと納得させられる出来栄えでした。 心に残ったポイント3:ジュディとニックの凹凸コンビが最高! 物語の主人公はウサギのジュディ。 真面目で正義感が強く、ポジティブな性格で、「ウサギの警察官なんて聞いたことない。絶対無理だからやめなさい」と言われても、諦めずに努力して、夢を叶えたところから映画はスタートします。 念願の警察官という職業と、「誰もがなりたいものになれる(anyone can be anything)」という楽園ズートピアへの、夢や希望を胸に抱き、田舎から上京。 ところが、配属先のボゴ署長(水牛)は、ウサギのジュディをとりあってもくれず、事件捜査の仲間外れに。ジュディは切符違反係にされてしまいます。 上京先のおんぼろアパートは狭いし汚いし、隣人はうるさいし。 そんな「最初からうまくはいかない」状況の中、ジュディは努力をし続けます。 このように書いていて思ったのですが、この映画はよくある「夢を叶えるまで」を描いているのではなく、「夢を叶えた後」を描いているのだなあ。 夢を叶えた後、それはゴールではなく、スタートライン。 たとえ夢を叶えても、何度でも失敗するし、うまくいかないこともある。それでも諦めずに何度でもやってみよう。 まさに、シャキーラのテーマソング"Try Everything"の歌詞どおりだなあと思いました。 そして、そんなジュディの相棒になるのが詐欺師のニック。 ニックはアカギツネで、「ずる賢い」というステレオタイプな先入観を持たれることに失望し、そのままの人生を送ればいいんだと、どこか人生を諦めています。 そんな二人がコンビを組むというところもポイント。 自然界でアカギツネはウサギの天敵であり、ウサギの捕食者にあたります。 そんな天敵同士の二人なので、「キツネ避けスプレー」とか、ラストの方に登場するシーンなど、その関係性をうまく生かしたシナリオが随所に登場。 それがまた、観客にハラハラドキドキ、あるいは、胸をキュンとさせるような描き方で、うまいなあと思ってしまいました。 この二人のコンビは、近年アメリカのドラマでも大人気の凹凸コンビのバディもののクライムサスペンスそのもの。 『BONES』『キャッスル』『エレメンタリー』のような男女のバディが事件を解決していくという流れにぴったりで、それも物語に引き込まれてしまったポイントだなあと思いました。 ジュディの声を演じるのは、オリジナル版ではジニファー・グッドウィン。 『ワンス・アポン・ア・タイム』というドラマで白雪姫を演じている女優さんです。 とても柔らかく、綺麗で愛嬌のある声なので、ジュディのイメージにぴったり。耳触りのとても良い声だなあと思いました。 途中、ジュディが泣きながら話すシーンがあるのですが、巧すぎて私ももらい泣きしそうに…。 そして、ニックの声を演じるのは、オリジナル版ではジェイソン・ベイトマン。 少し前まで"Arrested Development"(邦題は『ブルース一家は大暴走』)の主役マイケル・ブルースを演じていた俳優さんです。 こちらもニックの声にぴったりで、ユーモラスだったり、詐欺師っぽく軽妙な話し方をしたり、焦った話し方、真摯な話し方など、さすがだなあと思いました。 日本語版では上戸彩さんと森川智之さんが演じられているとのこと。 まだ吹替版は見ていませんが、上戸彩さんは声が綺麗ですし、森川智之さんはベテラン声優さんなので、そちらも見てみたいなあと思っています。 関係ないけどフィニック(ニックの相棒)の声には驚愕した! 心に残ったポイント4:偏見と多様性という2つの大人向けメッセージ 「何度失敗しても諦めずに頑張ろう」というポジティブなメッセージの裏で、この映画全編にわたって感じたのは「多様性を歓迎しよう」&「先入観を持たずに相手の本質をちゃんと見よう」という大人向けのメッセージでした。 様々な動物が暮らすズートピア。 その舞台もまた様々で、砂漠の街サハラ・タウン、雪と氷の街ツンドラ・タウン、高層ビルが立ち並ぶ大都会サバンナ・セントラル、ネズミのような小動物が暮らすリトル・ローデンシア、熱帯雨林のレインフォレスト地区などがあります。 ジュディはズートピアの外にある田舎町バニー・バロウからやってきました。 そんな都会育ちや田舎育ち、多種多様で様々な習慣や大きさの動物達、草食動物や肉食動物などが一緒に暮らすズートピアは、まさに多様性の街。 近年、社会でも「ダイバーシティ(多様性)」の重要性はよく聞きますが、まさに多様性を歓迎しよう、という姿勢がこの映画の中にはあるように思いました。 そしてそんな多様性社会を生きるからこそ、ぶつかってしまう偏見、先入観の壁。 ウサギのジュディが配属後すぐに受けるボゴ署長からの扱いは、一昔前の警察ドラマなどでよく見られた、男社会に飛び込んだ女性への差別のようにも感じられたし、アカギツネのニックが子供の時に負った心の傷は、学校社会でのいじめ問題のような一面にも思えました。 そんなふうに偏見による差別を受けたジュディが、今度は思わぬところで、自分自身が差別をする側に回ってしまう。 肉食動物への先入観で、社会に、そして相棒のニックに、影響ある発言をしてしまいます。 「こんなのはズートピアじゃない。私のズートピアを返して」 物語の中でガゼルが言う言葉が、とても印象的でした。 人種や性別、体格や容姿。育った環境や出身地。 学歴や収入。友達の数や趣味。 人は様々なもので、相手を判断します。それがいつのまにか先入観になり、偏見になります。 自分と似た価値観ばかりを受け入れていけば、世の中は敵ばかり。 自分と異なる価値観も受け入れよう。多様性ある社会を歓迎し、寛容に生きよう。 先入観を持たずに、相手の本質をちゃんと見よう。 私たち大人にとっても大切なメッセージを、こんなに前向きな気持ちで受け止められたのは、ディズニーの魔法あってこそ。 心に残ったポイント5:コメディセンス抜群のナマケモノ&エンターテインメント性抜群のガゼル この映画には随所に、思わず声を出して笑ってしまうようなコメディシーンがあるのですが、中でも群を抜くのがナマケモノのシーン。 特に英語版だと、文法の力も相俟って、話しっぷりが面白くってたまりませんでした。 映画館の会場全体に笑いが起こった一番のシーン。 ニックがナマケモノの知り合いを紹介するとき、「最速のフラッシュだ」と紹介するのですが、「えっ、どこが最速!?」と思ってしまうキャラクター。 ところがその「最速」の意味は、終盤のシーンでわかるようになっています(笑) そして、劇中に登場するポップスターのガゼルは、この映画のテーマソングの歌い手。 オリジナル版ではコロンビアの歌姫シャキーラが歌っています。 彼女の南米の雰囲気らしい、皆で体を揺らして踊りだしたくなるような楽しい曲。 ジュディが上京するシーンで、まるでディズニーランドさながらのズートピアの各エリアを列車が通っていくときに流れ、映画の始まりのワクワク感を助長させられました。 そしてラストは、ガゼルのライブ。 登場人物達がみんなそれぞれにリズムに乗って仲良く踊るシーンは、ズートピアらしい楽しさいっぱいの曲がぴったり。 ポジティブな気持ちで劇場を後にできたのは、このガゼルの"Try Everything"の影響も大きかったかなと思います。 この作品に出会えて良かった。観て良かった。 心からそう思える素晴らしい映画でした。 私もジュディのように、どんな苦境でも諦めずに自分に何ができるか考えられるようになりたいし、ニックのように、過ちを犯した相棒を許してまた手を取り合えるような人間になりたい。 ズートピアのように多様性ある社会を前向きに生きていきたい。 そんな風に思えました。 昨日は字幕版で観たので、次回は日本語版も観てみたいなあと思います。 字幕版もあと数回は観に行きたいです。
by norlie
| 2016-04-24 17:38
| Movie / TV
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