■ 岩手・平泉@秋の古都巡り
「秋」という言葉と、「古都」という言葉は、なんとなくイメージが似ていると思う。
「秋の古都」というのも、「古都の秋」というのも、キャッチフレーズのようにしっくり来る。 夏という最盛期の後に来る季節と、遥か昔に栄えた都。 どちらもじっくりローストしたコーヒー豆のような味わい深さと香りを持っている。 そんな「秋」が一足先に訪れる東北の「古都」、平泉。 義経伝説の最後の土地であり、かつて栄華を誇った黄金の都も、今は山に囲まれた田園地帯。いかにも田舎といった風情の町。 秋の初めに、行ってきた。黄金色の田んぼの美しいこと。 平泉といえば、やはり中尊寺金色堂が有名の極みだけれど、私は偶然立ち寄った達谷窟の雰囲気がどうにも気に入ってしまった。 岩壁に埋まるようにして立つ毘沙門堂。中へ入ると片側の壁が岩肌になっている。 京都の清水寺を模して建立されただけあって、このあたりの地方では珍しい造り。 こんなちょっと普通じゃない仏閣があったのか…と、結構衝撃だった。 でも、「たっこくのいわや」と一発で読める人はいるんだろうか。 達谷窟の近くに、彼岸花の咲く古い日本家屋があった。 初めてきちんと見た彼岸花。この世のものではないくらいの鮮やかな赤にびっくりした。 花全体のその異様な形状も、ちょっと気味が悪い。 『彼岸花』とも『曼珠沙華』ともいうらしい。他にも別名があるようだけれど、およそ縁かつぎできそうにもないものばかり…。 ちょっと怖いなあと思っていたら、父親がこの花にまつわる言葉を教えてくれた。 「花は葉知らず、葉は花知らず」 というんだそうだ。 花と葉が同時にはえてくることがないため、花は一生葉を知らないまま、葉も花を知らないまま育つことに由来するらしい。ゆえに、「葉は花を思い、花は葉を思う」なんて言葉もあるんだそう。 真っ赤な花に思いを馳せる。 花としては、のんびりマイペースにびょーんと咲いているだけなんだろうけれど。 秋だから、少し感傷的にもなってみよう。
by norlie
| 2007-10-26 22:46
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